ビットコインキャッシュの15分をボリンジャーバンドで攻略する【後編】

前回の記事ではビットコインキャッシュの15分足で2つの有望な売買ルールを絞り込みました。手数料を考慮してテストしたところ、十分に期待できそうな結果でした。
今回はこれらのパフォーマンスサマリーと、ロングとショートに分けた損益グラフをご紹介します。

■ビットコインキャッシュ15分足「Bollinger Bands Strategy directed」σ=2、期間6のパフォーマンスサマリー

まずはσ=2、期間6パフォーマンスサマリーを見てみましょう。

サマリーで一番最初に注目したいのはロングとショートの両方で同じくらい利益が出ているかどうかです。これは非常に重要なポイントです。どちらか片方に利益が集中していると、単にトレンドに乗っただけに過ぎないという場合があるからです。そういう売買ルールは買って放置、あるいは売って放置するのと大差ありません。それどころか取引回数が無駄に増える分むしろ損するくらいで、無意味以下のことをわざわざプログラムを組んでやらせることになってしまいます。また、そのような売買ルールではトレンドが反転した時に資金がなくなるまで負けてしまうリスクもあります。理想はロングでもショートでもだいたい同じくらいの利益が出ていることです。
今回の売買ルールはまさにそうなっており、売りでも買いでも同じくらいの利益が出ていてとても理想的です。幸先がいいですね。

その他の項目も見ていきましょう。

・純利益は4646ドル:総利益12168ドル、総損失7522ドル
損失に対して約1.6倍の利益が出ており、理想的です。

・最大ドローダウンは744ドル
純利益4646ドルに対して最大ドローダウン744ドルなので、最大ドローダウンは総利益の1/6以下です。
一番資金が減った局面でも、総利益に対してわずか6分の1以下の損失しか出なかったということです。
期間中のビットコインキャッシュのレートは最大470ドルなので、10BCHの運用に必要な資金は4700ドル。それに対して744ドルのドローダウンは約16%に相当し、かなり少なめだと思います。

・プロフィットファクターは1.62
良好な数字だと思います。

・平均トレード利益は19.5ドル
2700~4700ドル相当の資産を売買して1回あたりの利益が約20ドルなので、0.4~0.7%程度です。ちょっと少なく感じるかもしれませんが、手数料考慮済みの数値なので十分いい値だと思います。

・勝率は65.1%
勝率は高めです。3回中2回くらいはプラスになっています。ただ、勝率は単体ではあまり意味がなく、プロフィットファクターやペイオフレシオとセットで評価する必要があります。

・平均勝ちトレードは78.5ドル、平均負けトレードは90.6ドル
勝率が高めな代わりに平均利益額よりも平均の負け額のほうが大きくなっています。
平均の価値額と負け額を比率(ペイオフレシオ)と言います。
この売買ルールのペイオフレシオは0.87です。勝率を考慮すると高い値だと思います。

ペイオフレシオについて…

ペイオフレシオ=平均利益額÷平均損失額
で算出します。

ペイオフレシオが1未満の時は逆数を見ます。
今回のペイオフレシオは0.87です。
0.87の逆数は1/0.87=1.15なので、平均利益額よりも平均損失額のほうが1.15倍大きいということです。
勝つときは平均で100円増えていて、負けるときは平均で115円減っている。
これだけ見ると損をしてしまいそうです。
しかし、勝率が65%なのでプラスになります。

100回勝負した時、100円の勝ちが65回、115円の負けが35回なので
100×65=6500円増える間に115×35=4025円しか減っていないのです。
このため、100回あたり2475円増えているということになります。
(実際には10BCHの取引の場合、1回あたり平均で19.5ドル=2067円増えていたことになります。)
・トレードにおける平均バー数は47
1往復の取引に15分足47本分の時間が平均でかかっています。
つまり、平均トレード時間は11時間45分になります。
・勝ちトレードの平均バー数は36
・負けトレードの平均バー数は69
負けトレードの決済間隔は勝ちトレードの1.9倍です。
負ける場合は勝つ場合にくらべてほぼ2倍の決済間隔になっています。

負けトレードの時間が長引く場合、損失が大きくなりやすいリスクを持っています。
この点は好ましくありません。逆張りの売買ルールはこうなりやすいです。

・利回り
期間中最大レートの470ドルを10BCH保有するために必要な資金は4700ドル
これを4か月弱運用して4646ドルの利益
4か月間の利回り98.9%、年間利回り395%
とても優秀だと思います。
ただし、現物取引しかできないのでショート分の利益は仮定です。
現物分だけでも十分な利回りになりますが。

以上、ビットコインキャッシュの15分足をσ=2、期間=6のボリンジャーバンド逆張りで10BCH売買した場合のパフォーマンスサマリーの解説でした。

次にσ=1.5、期間4のパフォーマンスサマリーを見てみましょう。

■ビットコインキャッシュ15分足「Bollinger Bands Strategy directed」σ=1.5、期間4のパフォーマンスサマリー

σ=2、期間=6の場合と同様、こちらの売買ルールでもロングとショートでだいたい同じくらいの利益が出ており、とても理想的です。
他の項目も見ていきましょう。

・純利益は6002ドル:総利益22585ドル、総損失16584ドル
損失に対して約1.36倍の利益が出ています。

・最大ドローダウンは588ドル
純利益6002ドルに対して最大ドローダウンがわずか588ドルです。なんと、最大ドローダウンは総利益の10分の1以下です。
一番資金が減った局面でも、総利益に対して10分の1以下の損失しか出なかったということです。
期間中のビットコインキャッシュのレートは最大470ドルなので、10BCHの運用に必要な資金は4700ドル。それに対して588ドルのドローダウンは約12.5%に相当し、かなり少なめです。そのリスクで6002ドルの利益を狙えたのだから、非常に優れた結果だと思います。

・プロフィットファクターは1.36
σ=2、期間6に比べればプロフィットファクターは劣りますが、こちらは取引回数がとても多く、1回の取引時間が短いので、そのあたりも考慮するとかなり良好な数字だと思います。

・平均トレード利益は5.9ドル
2700~4700ドル相当の資産を売買して1回あたりの利益が約5.9ドルなので、0.12~0.22%です。かなり少ないですが、手数料考慮済みの数値であり、トレード回数が多いので必ずしも悪い値ではありません。

・勝率は60%
勝率は高めですが、勝率は単体でみてもあまり意味がなく、プロフィットファクターやペイオフレシオとセットで評価する必要があります。

・平均勝ちトレードは37.2ドル、平均負けトレードは41.1ドル
勝率が高めな代わりに平均利益額よりも平均の負け額のほうがやや大きくなっています。
平均の価値額と負け額を比率(ペイオフレシオ)と言います。
この売買ルールのペイオフレシオは0.906で、取引回数の多さと勝率を考慮するとかなり高い値だと思います。

ペイオフレシオについて…

ペイオフレシオ=平均利益額÷平均損失額
で算出します。

ペイオフレシオが1未満の時は逆数を見ます。
今回のペイオフレシオは0.906です。
0.906の逆数は1/0.906=1.1なので、平均利益額よりも平均損失額のほうが1.1倍大きいということです。
勝つときは平均で100円増えていて、負けるときは平均で110円減っている。
これだけ見ると損をしてしまいそうです。
しかし、勝率が60%なのでプラスになります。

10回勝負した時、100円の勝ちが6回、115円の負けが4回なので
600円増える間に460円しか減っていないのです。
このため、10回あたり140円増えているということになります。
実際には10BCHの取引の場合、1回あたり平均で5.9ドル=625円増えていたことになります。
利益が小さくてショボいとお思いかもしれません。しかし、4か月の間に1011回も取引しています。1回あたりの利益は625円と小さくても、これを1011回繰り返すことで計632,000円にもなります。

・トレードにおける平均バー数は12
1往復の取引に15分足12本分の時間が平均でかかっています。
つまり、平均トレード時間は3時間です45分になります。
・勝ちトレードの平均バー数は9
・負けトレードの平均バー数は16
負けトレードの決済間隔は勝ちトレードの1.8倍です。
負ける場合は勝つ場合にくらべて2倍近い決済間隔になっています。

負けトレードの時間が長引く場合、損失が大きくなりやすいリスクを持っています。
この点は好ましくありません。逆張りの売買ルールはこうなりやすいです。
この辺りはσ=2、期間=6の時と同じですね。

・利回り
期間中最大レートの470ドルを10BCH保有するために必要な資金は4700ドル
これを4か月弱運用して6002ドルの利益
4か月間の利回り127.7%、年間利回り510.8%
非常に優秀だと思います。
ただし、使っているデータは現物のものです。このためショート分の利益は仮定です。
とはいえ、現物分だけでも十分な利回りになりますが。

以上、ビットコインキャッシュの15分足をσ=1.5、期間=4のボリンジャーバンド逆張りで10BCH売買した場合のパフォーマンスサマリーの解説でした。

いずれのロジックも高い勝率で小さな利益を繰り返しうまく積み上げていますが、そのようなロジックの欠点としていわゆる「コツコツ、ドカン」…つまり、小さく積み立てた利益を大きな損失一回で失うか、下手したらそれ以上の損失を出すということがあり得ます。これは逆張り型のロジックでは避けがたいリスクです。逆張りロジックは勝率と引き換えに一発大損のリスクを負っています。逆張りロジックは損失無限大です。このため逆張りロジックでは99勝1敗でも負けてしまう可能性があります。そうならないためには損切が重要になりますが、最適な損切幅を設定しないと勝率が下がってしまい、場合によっては収益を悪化させます。ここの匙加減はとても難しいです。逆張りロジックの使用を検討する際はそのあたりにもよく配慮する必要があります。

■ロングとショート、それぞれの損益グラフ
今回の検証ではビットコインキャッシュ現物の価格データを使っているので、実際にはショート(空売り)で利益を上げることはできません。このため、ショートの損益はあくまで仮定の値です。
とはいえ、レバレッジ取引ならショートも可能ですので、この結果は参考にはなると思います。ロングしかできないとしても、「仮にショートしていれば利益が出ていた」という売買ルールを使うほうが好ましいです。ショートで利益が出ているということは、最適な売り時をうまく捉えられているということです。つまり、ショートで利益が出ていることは買った現物を売却するタイミングの判断が適切であることの裏付けともいえるでしょうから、現物のみの売買にもプラスに働くと思います。

今回使用しているストラテジー「Bollinger Bands Strategy directed」ではロングとショートを別々に表示することができるので、それぞれの損益グラフを見てみましょう。

σ=2、期間6 ロングのみの損益グラフはこちら

右肩上がりではありますが、ちょっとドローダウンが気になりますね。

σ=2、期間6 ショートのみの損益グラフはこちら

こちらもロングと似たような感想ですが、こちらのほうがましな形かなと思います。
別々に見ると、ちょっと「うーん…」となります。現物の場合はロングしかできないので、なおさら考えモノです。

σ=1.5、期間4 ロングのみの損益グラフはこちら

1か所大きめのドローダウンがありますが、許容範囲です。
そこ以外は右肩上がりでとてもいいですね。

σ=1.5、期間4 ショートのみの損益グラフはこちら

こちらもなかなか良好です。
ロングだけでも十分いい成績が出ており、ショートができない現物でもちゃんと使えそうです。

ある売買ルールをロングとショートに分けて調べてみると、どちらか片方だけでしか利益が出ていないことは度々ありますが、今回はグラフの形は異なりつつも双方で利益が出ています。また、ロングとショートを重ね合わせることでドローダウンが浅くなり、右肩上がりになります。理想的な形と言えそうです。

それぞれのパフォーマンスサマリーは前掲のサマリーをショートとロングで別々に見た場合と同じものになるので省略します。

■まとめ
売買ルールは「コツコツドカン」になりがちな逆張り型なので、ドカンが起こった時どうなるか、あるいはどれくらいの頻度で、どれくらい大きなドカンになるのかは要注意です。もっと長い期間を見てみたいところですが、TradingViewの仕様でこれ以上長い期間を見ることはできません。実践投入する前に、もっと長期間の15分足のヒストリカルデータを手に入れてエクセル等で解析をしておいたほうがよさそうです。

リップル、イーサリアム、ビットコインキャッシュの3通貨いずれも1時間足では順張りが好ましく、15分足では逆張りが好ましかったです。しかし、それぞれの通貨に最適なσや期間が異なったり、パフォーマンスの良しあしに差が出たりしました。ある仮想通貨でうまくいったパラメータをそのまま使うのはあまりよくないようで、それぞれの通貨に最適な値を探る必要がありそうです。

さて、ここまでボリンジャーバンドを利用した有望そうな売買ルールをいくつもご紹介させていただきましたが、スキャル出身の筆者としては、個人的にはビットコインキャッシュのσ=1.5、期間4が一番魅力的でした。
皆様もぜひいろいろ探ってみてください。この売買ルールの探索の仕方はユーロドルなどFXの売買ルール探索にも役立つと思います。