ビットコインの有望売買ルールがリップルに通用するのか検証してみた

前回の記事ではビットコイン売買の有望ロジックがイーサリアムでも通用するのか検証しました。ビットコインでは抜群のパフォーマンスが出たロジックでしたが、そのままイーサリアムに適応すると厳しい結果でした。パラメータを調整して、どうにかそこそこの成績になりました。仮想通貨は似たような動きをすると言われていますが、売買ロジックになると話は別で、銘柄ごとに売買ルールは大きく異なるのでしょうか。
今回はビットコインで良好なパフォーマンスを発揮した売買ルールをリップルに適用するとどうなるか検証してみます。

リップルの検証なので、できればビットバンクのデータを使いたかったのですが、ビットバンクのチャート情報はTradingViewでは使えません。代わりに今回はBINANCEのXRP/USDTを使って検証します。

■ストラテジーとパラメータの設定

イーサリアムの検証と同様に、今回もBTC攻略法でご紹介したTradingViewの内蔵ストラテジー「Volty Expan Close Strategy」を使います。
Volty Expan Close Strategyの売買ロジックについてはこちらの記事をご覧ください。
パラメータはBTC関連4銘柄の1時間足で良好なパフォーマンスを見せたNumATRs=2に固定したまま、期間を1から順に増やしながら損益額やドローダウンを見ていきます。

■売買ルールとテスト手順の詳細

対象期間は2018年の5月2019年の8月までです。
取引量は10,000XRPで固定です。できれば1XPRにしたいところですが、TradingViewでは小数点3ケタより小さい値が省略されて不正確な値になってしまいます。この問題を回避するため10,000XRPで検証します。

検証する売買ルールが純粋に騰落を捉えることができるかどうかをみるために、まずは手数料やスプレッドを無視して検証します。十分な利益が出そうな検証結果が出たら、最終段階で手数料やスプレッドを考慮して検証します。

※ドテン売買のロジックのため損益グラフには売り立て(ショート)の利益も入っていますが、今回は現物なので実際には買い→売りのトレードだけが有効です。内蔵ロジックを書き換えるとバグるリスクがあり、バグった結果に一喜一憂しても仕方ないので、このまま使います。ショート込みの損益結果になってしまいますが、ひとまずこのままテストします。

■バイナンス XRP/USDTの1時間足をVolty Expan Close Strategy NumATRs=2で検証

まずは期間1からです。
損益グラフはこのようになりました。
期間1


見るからにイマイチですね。増えてはいますが総利益に対するドローダウンがキツすぎて、これを使うのは厳しそうです。

期間2の損益グラフ


スタートダッシュに失敗して転んでいますが、それ以降は良好でかなりいい形です。
これくらいなら使えるかもしれません。もっと期間を延ばしてみましょう。

期間3の損益グラフ

残念ながら大幅に悪化しました。あまり良くない傾向ですね。

期間4の損益グラフ

さらに悪化しました。この後もずっと悪化していきます。
しかし期間10くらいから持ち直してきて、期間13から期間15はかなりよさそうなグラフになりました。この中でも期間13が最も良好なパフォーマンスでした。

期間13の損益グラフ

ビットコインの時とまではいきませんが、かなりいい形です。
これくらいなら使えるかもしれません。

ということで、期間2と期間13を有力候補とします。
これに手数料とスプレッドを盛り込むとどうなるか見てみましょう。

■バイナンスの手数料

・スプレッドと取引手数料
バイナンスのリップルは板がかなり分厚いためスプレッドは0.0001ドル≒0.01円くらいで、かなり小さめになっています。しかし、取引ごとにやや高めの取引手数料がかかります。手数料は条件によってさまざまな幅がありますが、今回はそれほど条件達成が難しくない手数料0.06%を採用します。

ストラテジーのプロパティで手数料を0.06%、スプレッドを往復0.0001ドル(片道0.00005ドル)に設定します。
バイナンスのXRP/USDTは1ティックで往復0.00002ドルなので5ティックに設定します。

※TradingViewでは1ティックがいくらになっているかは銘柄ごとにマチマチなので、その都度確認する必要があります。

■片道手数料0.06%とスプレッド0.0001ドルを反映させたバックテスト

ということで、NumATRs=2・期間2と NumATRs=2・期間13に手数料とスプレッドを反映させたバックテストを見てみましょう。

NumATRs=2・期間2の損益グラフはこちら

当たり前ですが、手数料とスプレッドを盛り込むとパフォーマンスは悪化しますね。
問題はどの程度なのかです。適当にトレードするよりはよほどいいと思いますが、これを実践に使うかと言われるとけっこう迷います。期間13も見てみましょう。

NumATRs=2・期間13の損益グラフはこちら

期間2に比べるとそこそこ改善しています。とはいえ、ビットコインの時のような高パフォーマンスではありません。もちろん実際にトレードしてこの結果であれば十分に成功の部類になるとも思います。
ただ、これも実際にお金を入れて運用するかと言われるとためらうところです。ココには分散せず、ビットコインで動かしたほうがよさそうです。

■パフォーマンスサマリー

念のためパフォーマンスサマリーも見てみましょう。
NumATRs=2・期間2のパフォーマンスサマリー

パフォーマンスサマリーで致命的な問題が発覚しました。ロングとショートの利益バランスが悪すぎることです。なんと、利益のほとんどをショートで稼いでいます。こういう場合はショートの売買結果だけ取り出せばきれいな損益グラフになることが良くありますが、単に下落トレンドを捉えていただけという可能性がかなりあります。実際、この期間で4ドルから0.3ドルまで下落しているので1万リップル売って放っておくだけでも37000ドルの利益になっています。そんな下げ一辺倒の時でさえロングにもちゃんと利益が出ているような売買ロジックでないと、トレンドが転換した時に利益が出しにくいです。

とはいえロングもマイナスにはなっておらず若干プラス程度になっています。それでもバランスが悪すぎます。
もちろんショートのパフォーマンスだけ見れば相当イケてます。しかしビットコインではロングもショートも負けず劣らずバランスよく利益が出ていました。そういう結果のほうがずっと優れたパフォーマンスだと言えます。

NumATRs=2・期間13のパフォーマンスサマリー

ロングもショートも利益が増えていますが、相変わらずショートに大きく偏っています。
これもあまりいい売買ロジックとは言えなさそうです。

筆者はこのロジックをリアルマネーで運用できるかと言われると、やりません。
こちらに張る分もビットコインに張るほうが期待値が高いと思うためです。

■まとめ

Volty Expan Close StrategyのNumATRs=2設定はビットコインで良好でしたが、イーサリアムを検証するとボロボロでした。代わりにNumATRs=1を見つけ出し、そこそこのバックテスト結果を出せました。一方、リップルはビットコインの時と同じNumATRs=2のままでそこそこの損益曲線が出てきました。NumATRsは値動きの激しさを指標化したものですから、これが同じ値で機能するということはビットコインとリップルの値動きの激しさは近いものがあるのかもしれませんね。
とはいえ、ビットコインのパフォーマンスに比べるとかなり劣ります。もしかすると、値動きの激しさは似ていてもトレンドが違うことは原因のひとつかもしれません。2018年1月1日から2019年8月17日までにビットコインは上がったり下がったりしていますが、リップルは上げよりも下げのほうが大きく、ビットコインに比べて値段が回復していません。従って利益が出たのはショートのみで、ロングはマイナスにはなっていないもののわずかに利益が出た程度です。
再びロングトレンドに転じたときに、ロングで大きな利益が出てショートでほとんど損がないか少し増えるということになれば長期的に通用する売買ルールだと言えそうですが、現状ではなかなか評価しにくいところです。

イーサリアムやリップルでもなかなかのプラスになってはいますが、ビットコインに比べればだいぶイマイチなパフォーマンスでした。イーサリアムはそこそこいい感じでしたが、リップルはもっといい売買ルールがありそうです。
イーサリアムとリップルについてはストラテジーを変えてもっと有望な売買ルールを探索してみようと思います。