バイナンス  BTC/USDT 1時間足の攻略法

前回の記事ではビットフライヤーのBTC/JPYの1時間足の攻略法を検証しました。その結果、ビットコインFXで好調だった売買ルールがビットコイン現物でも機能しそうだということが確認できました。
今回は海外のビットコイン現物でも同じ売買ルールが機能するか検証します。これでも通用するなら国内でも海外でも、現物でもレバレッジでも、幅広く通用する方法と言えるかもしれません。
ということで、今回はBINANCEのBTC/USDTを検証します。

■売買ルールの詳細

対象期間は2018年の1月1日から2019年の8月15日までです。

使用ストラテジーはお馴染み、TradingViewのVolty Expan Close Strategyです。
前回と同様に、NumATRsは2に固定し、同様に期間を1から順に条件が悪くなるまで増やしていきます。

取引量は1BTCで固定です。

普段はまず手数料やスプレッドを無視して売買ルールのスクリーニングを行いますが、今回のように既知の有望ロジックを使う際は最初から手数料やスプレッドを考慮したほうが楽です。BINANCEの取引手数料は条件によってかなり幅がありますが、条件を満たすのがそんなにつらくないであろう「片道0.06%」を採用します。スプレッドは5ドル(=片道2.5ドル)に設定します。

NumATRsを2に固定したまま期間を1から増やしていきます。


バイナンスのBTC/USDTでは1ティック0.01ドルになっているので、スリッページを250ティックに設定することで片道2.5ドル=往復5ドルのスプレッドを設定できます。

※TradingViewでは1ティックがいくらになっているかは銘柄ごとにマチマチなので、その都度確認する必要があります。

※ドテン売買のロジックのため損益グラフには売り立て(ショート)の利益も入っていますが、今回は現物なので実際には買い→売りのトレードだけが有効です。内蔵ロジックを書き換えてバグった結果に一喜一憂しても仕方ないので、ショート込みの損益結果になってしまいますが、ひとまずこのままテストします。

…ということで、以上の条件でバックテストを行いました。

■バイナンスBTC現物1時間足を超短期Volty Expan Close Strategyで攻略

NumATRs=2、スプレッド=500、手数料=0.06%に固定し、期間のみを1から1つずつ増やして損益グラフの変化を見ていきます。

期間1の損益グラフ


まずは期間1の損益グラフです。

利益は+20277ドル、最大ドローダウンは7710ドル、平均トレード利益は36ドル。
じりじり下がっていくところがきつく、このルールの採用はあまり現実的ではありません。
利益に対する平均ドローダウンの割合も無視できないくらい大きいです。
ビットフライヤーの現物に比べると手数料の影響がかなり大きそうです。こういう場合はトレード回数を減らして1回あたりの平均利益を増やす必要があります。もう少し期間を長くしてみましょう。

期間2の損益グラフ

利益は+24276ドル、最大ドローダウンは3513ドル、平均トレード利益は54ドル。
平均トレード利益が大きく増え、グラフの形もかなり改善されました。特にドローダウンと利益の比が大きく改善されています。これなら採用できるレベルだと思います。
もっと期間を長くしていきましょう。

期間3の損益グラフ

利益は+23934ドル、最大ドローダウンは2726ドル、平均トレード利益は60ドル。
利益は少し減りましたがドローダウンが低下して平均利益が増えています。
期間2と比べるとこちらのほうが優秀なパフォーマンスと言えそうです。

期間4の損益グラフ

利益は+19165ドル、最大ドローダウンは3361ドル、平均トレード利益は52ドル。
いずれの成績も期間3に比べて不利になりました。
このまま期間を増やしていくとどうなるでしょうか。もしもパフォーマンスが改善せずただ下がっていくだけなら、最適な期間設定は2か3が良いと思います。
期間5を見てみましょう。

期間5の損益グラフ

利益は+15639ドル、最大ドローダウンは2998ドル、平均トレード利益は44ドル。
ドローダウンは減りましたが、それよりも激しく利益が大きく減っています。
これはあまり有望ではなさそうです。

期間の6損益グラフ

利益は+21541ドル、最大ドローダウンは3590ドル、平均トレード利益は64ドル。
なぜか一気に持ち直しました。とはいえ期間3に比べると見劣りします。
そろそろ厳しくなっていきそうです。

期間の7損益グラフ

利益は+19392ドル、最大ドローダウンは3483ドル、平均トレード利益は58ドル。
期間6より悪化しました。そろそろ引き際でしょうか。


利益は+18575ドル、最大ドローダウンは2756ドル、平均トレード利益は58ドル。
期間7とあまり変わらず。


利益は+19827ドル、最大ドローダウンは3055ドル、平均トレード利益は62ドル。
持ち直しましたが期間6には劣ります。

これ以降は総利益が減ってドローダウンが拡大し、平均利益が減っていきます。

以上の結果を踏まえて、これからどれかを選んでトレードするとしたら、どの設定が好ましいでしょうか。
筆者は期間2か期間3のどちらかを選びます。もしくは資金を2等分してこの2つの設定を同時稼働させます。
どうしても一つ選ぶなら2です。総合的に見て期間3のほうが優れた結果が出ていますが、期間がより短くトレード機会の多い期間2のほうが安定しやすさは高いと思います。しかし期間3のパフォーマンスも高いので、両方とも半分ずつ動かしてリスクとチャンスを分散させるのがよさそうです。

なにはともあれ、ビットコイン現物の売買でこんなパフォーマンスが出せたら素晴らしいですね。昨年の後半から今年の春くらいまではほとんど利益が出せていませんが、あの難しい相場をたったのワンロジックだけで微減で乗り切れているのは相当すごいことだと思います。

次に、期間2の詳細なパフォーマンスを見てみます。

■バイナンスBTC/USDT1時間足 超短期Volty Expan Close Strategyのパフォーマンス

パフォーマンスサマリーは次の通りです。

こんなイケてるサマリーがすぐに出てくるのもTradingViewの長所の一つです。
仕様上ショート(空売り)でも大きな利益が出ていますが、残念ながら現物なのでショートはできないので、「ロング」の部分のみを評価します。

・純利益は11131ドル:総利益28851ドル、総損失17719ドル
・プロフィットファクターは1.628
これはなかなかいい数字だと思います。
・平均トレード利益は49.5ドル
ちなみに仮想ショートの平均トレード利益は58.4ドルで、ロングよりも大きめです。
・勝率は41%
勝率は単体ではほとんど意味がなく、
プロフィットファクターやペイオフレシオ(平均の勝ち額と負け額の比率)と
セットで評価する必要があります。
・平均勝ちトレードは310ドル、平均負けトレードは134ドル
ペイオフレシオは2.311、つまり勝つときは負けるときの2.3倍くらいの金額ということです。見事な損傷利大ですね。
勝率4割でこのペイオフレシオはとても好ましいです

・トレードにおける平均バー数は28
1往復の取引に1時間足28本分の時間が平均でかかっています。つまり平均トレード時間、平均トレード間隔は28時間ということです。
・勝ちトレードの平均バー数は41
・負けトレードの平均バー数は19
勝ちトレードの決済間隔は負けトレードの倍以上かかっています。つまり、損はさっさと見切りをつけて、利益はできるだけ伸ばしています。巧いトレーダの手法を彷彿とさせますね。

参考までに期間3の場合はこちらです。合わせてご覧ください。

■今回のまとめと補足

現物取引では空売りができないのでレバレッジ取引に比べるとチャンスは半減してしまいます。ほとんど一方的に上がり続けるだけだった2017年までとは異なり、2018年以降は上がったり下がったりを激しく繰り返しています。筆者の感覚では仮想塚では上げ局面よりも下げ局面のほうがチャンスがより多く・かつ大きいように感じます。現物では下げ局面では利益を出せないのがもったいないですが、その反面リスクも小さいです。

この売買ルールでは「仮に売っていたとしたら」でも利益が出ているので、下がる前に手じまいができているとも言えます。つまり、「買い→売り」しかできない現物取引でこのルールを使ってもうまく売りのチャンスをとらえることができていると評価できるのではないでしょうか。

現物取引だけを扱っている取引所はレバレッジ取引よりも数多くあるので、現物取引を攻略できればチャンスが増えると思います。

■これまでのまとめ

期間を1~3に設定する超短期Volty Expan Close Strategyの売買ルールを、ビットフライヤーのBTCFX、BitMEXのBTCFX、ビットフライヤーBTC現物、バイナンスのBTC現物に適応した成績をご紹介してきました。これらのすべてで良好なパフォーマンスを発揮しました。この売買ルールは記事執筆日(8/15)の朝に起こった大暴落もキッチリとらえており、レバレッジ取引か現物取引かを問わず、BTC取引によくマッチした売買ルールといえるのではないでしょうか。
では、ビットコイン以外の銘柄にこの売買ルールを適用するとどうなるでしょうか。次回の記事ではそのあたりを検証しようと思います。