BITMEX BTCFX 1時間足の攻略法

前回の記事ではビットフライヤーのBTCFX1時間足の攻略法をご紹介させて頂きました。記事執筆後も順調に利益を積み立てており、とても良好なパフォーマンスの売買ルールと言えると思います。
それでは、bFFXと似たような動きをしているBitMEXのBTCFXで、同じルールで売買するとどうなるでしょう?今回はその検証をご紹介します。

■ストラテジーとパラメータの設定

今回もTradingViewの内蔵ストラテジー「Volty Expan Close Strategy」を使います。
Volty Expan Close Strategyの売買ロジックについてはこちらの記事をご覧ください。
このストラテジーを使い、パラメータはビットフライヤーのBTCFX1時間足で良好だった期間=1、NumATRs=2の設定でバックテストします。

■BitMEX BTCFX1時間足 Volty Expan Close Strategy 期間=1、NumATRs=2のバックテスト

Volty Expan Close Strategyで期間=1、NumATRs=2、テスト期間は2018年1月1日から2019年8月12日までです。
損益グラフはこのようになりました。

BitflyerのビットコインFX(bFFX)と同様の良好な損益グラフになっています。これは期待できそうですね。ただ、BitMEXにはbFFXとは大きく異なる条件があり、その条件の影響がかなり大きいためそこもよく考慮しないといけません。BitMEXが大きく異なる条件とは、手数料です。

■BitMEXの手数料

スプレッドと取引手数料

BitMEXでは板が非常に分厚く、スプレッドはほぼ0.5ドルです。しかし、取引ごとにかなり高めの取引手数料がかかります。片道0.075%なので往復でなんと0.15%もかかります。BTCのレートが120万円なら1BTCの取引手数料は片道900円、往復1800円もかかるということです。

テイカーにするか、メイカーにするか

0.075%というのはテイカー手数料です。メイカーの場合はマイナス手数料となり、メイカー手数料は片道-0.025%ですから、あらかじめ板に指値を置いておいてメイカー約定させれば片道で300円受け取れることになります。しかし、今回のストラテジーは順張りのロジックなので指値で待ち構えてメイカー取引を約定させることは不可能に近いです。上がってる時には買い、下がっているときには売るので、一段下の板に注文を並べたところで非常に高い確率でおいていかれるだけです。しかもドテン売買の手法なので、注文が刺さらなければエントリーできないばかりではなく利確や損切もし損ねてしまい、非常に危険です。このような理由から、たとえ逆張りロジックだとしても常にテイカーで考える必要があります。
ちなみに、特殊な場合とはメイカー手数料をかき集めるためにレンジ相場を狙って指値で待ち構えることを目的としたり、メイカーとして価格の調整を狙う場合です(MMbot等)。このような場合はメイカーになること自体を目的とするトレードになりますが、かなり特殊な場合です。
従って、普通のシステムトレードではテイカー手数料を前提にするのが妥当だと思います。

■テイカー手数料を反映させたバックテスト

パラメータはそのままで、ストラテジーのプロパティで手数料を0.075%に設定します。

この条件でバックテストすると次のようになりました。

累計利益が22000ドルから13000ドルへと、かなり減ってしまいました。
また、損益微増だった期間が微減になってしまっています。
平均トレード益は25ドルから15ドルへ低下しており、1往復で平均10ドルの手数料がかかっていることがわかります。
平均トレード益15ドルに対して手数料10ドルと、手数料の比率が大きすぎるので、トレードルールを改善する必要がありそうです。平均利益を大きくしたい際は期間を長くしたり、パラメータの閾値を厳しくすることでトレード回数を下げる方向を模索することになります。
システムトレードでは期間が長くなると取引回数が減り、損益が安定しなくなる傾向があるのでできるだけ取引機会を増やして短い時間にしたいところですが、この辺りは常に手数料との兼ね合いになります。

■最適な期間を探る

上記は期間=1、NumATRs=2で手数料0.075%を盛り込んだバックテストでした。
それでは、期間=2、NumATRs=2手数料0.075%の場合はどうなるでしょうか。

総利益は24824ドル、平均利益は36.8ドルと大幅に改善されました。
先ほどは微減だった期間もほぼ横ばいになっています。
NumATRs=2、手数料0.075%のまま期間を3,4,5に変えてもほぼ同じような結果になります。

こちらは期間=2、NumATRs=2手数料0.075%の損益グラフです

「パラメータに幅があっても同じような結果が出ること」はかなり結構重要です。機能するパラメータにある程度範囲があるほうがいいロジックです。というのも、振り返って最適なパラメータを見つけること(カーブフィッティング)はそれほど難しくありませんが、未来に対してどの値が最適なパラメータなのか予測するのは非常に困難です。このため、ある程度パラメータに幅があっても機能するほうが、より有望なトレードルールと言えるでしょう。
また、期間が6のとき損益グラフの収益は一時悪化します。

期間6の場合、何度か不利なトレードに引っかかってしまったようです。

期間7では持ち直し、それどころか期間2~5よりも大きな平均利益なります。

利益総額は21700ドルに下がりますが、平均利益は44.8ドルと、最高値になります。

期間8でもほぼ同様の平均利益になりますが、利益総額は減ります。

これ以降は利益総額や平均利益が減り、時々上がってはまた下がりを繰り返しながら徐々に悪化していきます。

以上の結果を見ると期間7が一番よさそうですが、それでも筆者は2か3を使います。
最大の理由はドローダウンの少なさです。また、できるだけ短い期間にして取引機会を増やしたいこと、期間7も期間6のように不利なトレードに巻き込まれる可能性があることも理由です。

以上より、期間は2か3がよさそうです。

■NumATRsを調整する

次にNumATRsを調整して最適な値を探ります。
期間1、手数料0.075%でNumATRsを変更します。

NumATRs=1


ダメですね。

NumATRs=2


再掲載です。

NumATRs=3


良好です。

NumATRs=4


ダメですね。

ということで、1はダメ、4もダメですね。

2.5と3.5も見てみましょう。

NumATRs=2.5

良好です。

 NumATRs=3.5

ダメですね。

以上からNumATRsは2~3がよく、2.5か3が特にそうです。

■2種類のパラメータ調整と結論

以上を踏まえてNumATRsを2.5または3にして期間を変更してみましたが、どれもイマイチでした。
このことから、期間を2か3で、NumATRs=2するのが最適のようです。
筆者がこの方法で運用する際は
期間2、NumATRs=2
期間3、NumATRs=2
のどちらか、もしくは資金を2つに分けて両方を同時に稼働させることになるでしょう。

■損益再投資

最後に、「期間2、NumATRs=2」「期間3、NumATRs=2」で損益再投資した場合の損益グラフを紹介します。

プロパティ設定はこちら

この条件で損益再投資のバックテストができます。損益グラフはこのようになりました。

こちらは「期間2、NumATRs=2」の場合です。

収益率は593%と、資産は7倍近くになっていますが、前回ご紹介したビットフライヤーFXに比べればイマイチです。

次は「期間3、NumATRs=2」の場合です。

こちらもやはりイマイチです。ドローダウンも気になります。
どちらかを選ぶなら圧倒的に「期間2、NumATRs=2」ですね。

レバレッジ設定

仕様の都合により、TradingViewでは損益再投資でレバレッジを1以上にはできませんが、ピラミッディングを設定することで疑似的なレバレッジトレードをシミュレーションできます。


ピラミッディング設定はプロパティで行います。
最も利益が大きかったのはピラミッディング設定が3の時で、損益グラフはこちらです。


利益率は3089%で、初期資金はざっくり32倍になっています。ただ、グラフは汚く、ドローダウンが大きく、ビットフライヤーFXの時に比べるとパフォーマンスは大きく劣ります。

■終わりに

今回はbitflyerFXの1時間足で良好な損益グラフが出た売買ルールをBitMEX1時間足で検証してみました。
トレード回数が多い手法では手数料が大きな問題になるので、取引頻度が高めのこの手法は手数料の高いBitMEXとは相性があまりよくなさそうです。
とはいえ、ここまでのパフォーマンスを裁量で挙げられるトレーダーは100人のうち数人でしょうから、適当に取引するよりはるかに有利な手法だと思います。
多くのトレーダーは手数料以前の問題で負けてしまいます。手数料が気になるような段階に到達するためにもバックテストは大いに役立つと思います。ぜひ皆さんもバックテストで試行錯誤してみてください。思わぬ有力ルールが見つかるかもしれません。