ビットフライヤーFX1時間足の攻略法で損益再投資(複利)をしてみた結果

前回の記事ではビットフライヤーのビットコインFXの1時間足で優秀なパフォーマンスを発揮するバックテストをご紹介させていただきました。
今回は同じロジックで損益再投資(資産の増減に合わせてトレード数量を変更していく手法)をした場合に資産増加率がどうなるかをご紹介します。前回同様にVolty Expan Close StrategyというTradingViewに最初から入っている内蔵ストラテジーを使い、パラメータの設定も期間1、NumATRs2のままです。
この設定で、資金再投資の場合のバックテストをします。

■初期条件の設定

TradingViewの欠陥として、1よりも小さい取引量が設定できないため、単価の高い銘柄をシミュレーションする際は初期資金を多めにしたほうが正確な利益割合が出ます。
売買開始時のビットコインのレートが200万円なのに初期資金を100万円にすると、そもそもトレードが開始されずバックテストもできないという挙動を起こしたりします。
このような問題を回避するために初期費用を1億円に設定してバックテストします。とはいえ、実際に1億円でビットコインのシステムトレードをする人はなかなかいないでしょうから、実際にはこの1000分の1から10分の1くらい=10万円から1000万円くらいの初期資金で考えるのが良いでしょう。
今回の設定はこのようになります。

期間は1、NumATRsは2

初期資金は1億円 発注サイズは「100」を入力して「資産比%」を選択

レバレッジ1のまま、資産増減に応じて取引量が毎回変化します。この条件でbfFXの1時間足をバックテストします。期間は2018年1月1日から記事執筆時点の2019年8月10日です。結果はこのようになりました。

■レバレッジ1でのバックテスト結果

チャートの青矢印は買いポイント、赤矢印は売りポイントです。非常に理想的な右肩上がりのグラフになっており、勝ちトレーダの資産推移グラフを連想させます。
前回の記事では取引数量が固定だったので収益やドローダウンは意味がありませんでしたが、今回は損益再投資型なので、逆に収益やドローダウンにあまり意味はなく、収益率(%)やドローダウン率(%)が重要になります。ややこしいですけど、複利投資の場合は増減率を見ましょうということです。
損益率は2988%なので、なんと29.88倍になるということです。100万円スタートなら2988万円の利益が期待できたと考えられます。また、最大ドローダウン率は24%です。増加率との比較で考えるとかなり優秀だと思います。レバレッジ1でも24%もドローダウンするのがビットコインの恐ろしさですね。
ご存じの通り、このバックテスト期間中にビットコインの価値は50%以下(=半額以下)になったり100%以上(=2倍以上)になったりしているので、このトレードルールは単に売ったり買ったりするよりもはるかに強烈なロジックだと言えるでしょう。
ちなみに最大ドローダウン額と違って最大ドローダウン率は期間中の最大の損失率がわかります。つまり、期間中の最悪の場所からスタートしても24%しか資産が減らなかったということです。損益再投資でバックテストをすると最大ドローダウン率が評価できるので、破産リスクを判断する際にも便利です。

■レバレッジを変えるには

さて、これはレバレッジ1の場合です。TradingViewではレバレッジを1以上には設定できません。どうしてもレバレッジをかけた損益再投資を検討したい場合、資産比100%設定にしたうえでさらに「ピラミッディング」を設定することで疑似的にレバレッジに近いバックテストをすることもできます。

ただし、厳密にはピラミッディング2とレバレッジ2倍とはちょっと(だいぶ?)異なります。ピラミッディングとは、乱暴に言うとナンピンの親戚です。ナンピンは損をしたときにさらに損失方向に取引量を上乗せする手法で、勝率は上がりますが破産リスクが極めて高い手法です。逆に、利益が出ているときに取引量を上乗せする方法をスケールインと言い、勝率は下がりますが破産リスクは下がります。
ピラミッディングはサイン継続時に取引量を上乗せするので、順張りの時はスケールイン寄りに、逆張りの時はナンピン寄りになります。今回の手法は順張りなのでスケールインに似た感じになり、うまくいっているときに取引量を上乗せすることが多いです。
たとえばピラミッディング2では「2回目までエントリーサインを有効にし、最大2回まで張る」という手法です。ピラミッディングが4なら4回目まで張ります。逆サインが出たときは1回目ですべて決済し、1回分の逆ポジションを持ちます。これで疑似的にレバレッジ2の損益再投資をテストできます。設定は次のようになります。

この時の損益曲線は次のようになります。

なんと損益率は11917%(初期資金が120倍)にもなりました。100万円スタートでは1億1917万円もの利益が出ていたと試算されます。また、期間中の最大ドローダウン率は36.4%です。

つまり、このルールで100万円スタートでトレードを繰り返した場合、
・一番不利な時期に始めて一番不利な時期に辞めた場合:36万4000円の損
・2018年の1月1日に初めて今日まで続けた場合:1億1917万円の利益
ということです。

純粋なレバレッジ2であれば損益率も最大ドローダウンももっと過激な数値になるはずですが、ピラミッディングなのでそれよりはマイルドな数値になります。
また、チャートの部分を見ていただくと、赤と青の売買サインの数が増えているのがわかると思います。

■ピラミッディングの数を増やしてみる

続いてピラミッディングが3、4、5の場合も見てみましょう。
ピラミッディング3:損益率16070%、最大ドローダウン率43.6%
利益率はさらに上がりました。ただし最大ドローダウン率も上がっています。
ピラミッディング4:損益率18191%、最大ドローダウン率43.6%
利益率はさらに上がりましたが、最大ドローダウン率は同じです。どういうことでしょう?金額ではなく率・割合なのでこういうことが起こります。3回ピラミッディングしても4回ピラミッディングしても、最も損をした最悪の期間が同じということです。

ピラミッディング5:損益率21357%、最大ドローダウン率43.6%
利益率はさらに上がりましたが、最大ドローダウン率は同じです。ピラミッディングが3、4、5いずれの場合でも最悪に損をする期間は同じということですね。
それにしても、損益率が21357%ということは100万円スタートで2億1000万円以上の利益が出たということなので非常に素晴らしい限りです。
この感じだとピラミッディングの数を増やしていけば損益率が増えていきそうですね。
しかし…

ピラミッディング6:損益率18237%、最大ドローダウン率46.27%
損益率もドローダウン率も悪化してしまいました。
これから先はピラミッディングの数を増やすにつれてどんどんパフォーマンスが悪化していきます。ピラミッディングにも適度な回数があるということです。

■手数料や取引量を考慮する

前回の記事と同様、今回も手数料考慮前の数値です。前回は手数料を考慮しても手数料の影響が軽微であることを検証の上で確認しましたが、今回はそういうわけにはいきません。
板取引では取引量が増えれば増えるほどスプレッドが不利に(広く)なってしまいます。
取引量が数BTCの間はいいでしょうが、資金が増えて100BTCや1000BTCの取引をするようになると板が壊れてレートが大きくずれてしまいます。
1億円スタートでピラミッディング5の場合、最終取引は17000BTCにもなっています。

実際に1億円の100分の1の100万円でスタートするとしても、複利投資による資金量の増加に比例して取引量も増えていき、直近では一度のエントリーで170BTCもの売買をすることになります。しかもピラミッディングが5ということは170×5=850BTCを同時決済することもあり得ます。そうなるといくら板の厚いビットフライヤーFXでもレートが相当大きくずれてしまうでしょう。
ざっくりですが、現実的には1トレードあたり10BTCくらいが上限かなと思います。ドル円やユーロドルのように数千万通貨を売買しても1銭動くかどうかという分厚い銘柄とは訳が違います。
このように、損益再投資はどこかで天井にぶつかってしまい、取引規模に応じて天井が低くなります。損益再投資で利益を増やしていく場合、市場規模の大きさは非常に大事です。
ともあれ、どこかで天井にぶつかったら適切な量を維持すればいいだけなので、重要なのは利益が出せるトレードルールを見つけることですね。まずは手数料やスプレッド、取引量は抜きでレートの上下を適切に捉えられるかどうかを検証して、うまくいきそうな場合に初めて真面目に手数料を考慮するのが良いと思います。

■追記

前回は取引量固定、今回は損益再投資と、2回にわたってbitflyerFX1時間足のバックテストをご紹介しました。いずれも非常に優良なパフォーマンスと言っていいと思います。
ここまで来てようやく取引量や破産リスクなど、実際の収益に結び付ける検討ができるのではないかと思います。この段階にたどり着く前に適当にトレードを開始してしまい、運良く増えたり当然減ったりしながら、9割のトレーダーが退場してしまいます。
筆者はバックテストやシストレに情熱を注ぐようになってようやく利益が出せるようになりました。バックテストは大局的な相場観や脳内トレード経験値を積むのにとても役立ちます。

今回使用したのはTradingView 内蔵のVolty Expan Close Strategyというストラテジーです。もともとは結構めんどくさいロジックですが、期間を超短期にすることで非常にシンプルな売買ルールになっています。このようにシンプルなロジックがそれなりの期間通用することがあります。バックテストには「隠れたチャンスを掘り起こすチャンス」があります。TradingViewは筆者が知る限り、現時点で世界一簡単にまともなバックテストができるサービスです。私は有料プランを使っていますが、無料でもかなりいろいろなことができるので、ぜひ皆さんもいろいろ試してみてください。

注意:前回の記事でもお伝えした通り、TradingViewでユーザーが投稿している公開スクリプトにはリペイント(再描画:後出しじゃんけん)が搭載されているものが多数存在するので検証の際には十分注意してください。リペイントのロジックで利益が出せても、なんの意味もありません。リペイントができるなら勝率100%、利益率無限大で当たり前です。TradingView上で人気になっている公開スクリプトの多くはリペイント型のスクリプトで、とんでもない利益が出るようになっています。
リペイントを巻き込んだバックテストへの注意については過去の記事をご覧ください。