
前回の記事では公開ストラテジーの「Breakout Range Short Strategy Backtest」がユーロドルの1時間足に対して期間200以上の長期設定で有望そうなことが確認できました。
今回は期間をピックアップしてパフォーマンスサマリーを詳しくご紹介します。
設定期間は275です。
・「Breakout Range Short Strategy Backtest」EUR/USD 1時間足 LookBack=275 Trade Reverseオン の損益推移グラフ
すでに前回の記事でご紹介したものですが、わかりやすさのために再掲します。
ちょっと上下が激しいのが難点ですが、まあ悪くないかな、くらいの損益推移グラフです。
ちなみに期間275から280までほとんど同じような形になります。
また、これよりもパフォーマンスは低下しますが、250~300というそこそこ範囲で右肩上がりのプラスになり、期間設定にそれなりの余裕を持っている点も魅力的です。
もっとも良好なパフォーマンスを見せたのは期間278でした。
・「Breakout Range Short Strategy Backtest」EUR/USD 1時間足 LookBack=278 Trade Reverseオン の損益推移グラフ
期間275の場合に比べてそこまで大きな差ではありませんが、せっかくなので一番いいものを見ていきましょう。
期間278のパフォーマンスサマリーは次のようになりました。
・「Breakout Range Short Strategy Backtest」EUR/USD 1時間足 LookBack=278 Trade Reverseオンのパフォーマンスサマリー
まず、サマリーで一番最初に注目したいのはロングとショートの両方で同じくらい利益が出ているかどうかです。これは非常に重要なポイントです。どちらか片方に利益が集中していると、単にトレンドに乗っただけに過ぎないという場合があるからです。そういう売買ルールは買って放置、あるいは売って放置するのと大差ありません。
ただ、今回の売買ロジックはもともとがショートのみしかできないストラテジーです。
売買反転機能によって、その売りと買いをそっくりそのまま入れ替えたものです。つまり、ロング限定のストラテジーになっています。このため、今回はパフォーマンスサマリーで売りと買いの利益のバランスを見ることはできません。ロングのみの損益であるということを踏まえて、各項目を見ていきましょう。
・純利益は481ドル:総利益1116ドル、総損失635ドル
損失に対して1.7倍以上の利益が出ており、理想的です。
・最大ドローダウンは83ドル
純利益481ドルに対して最大ドローダウン83ドルなので、最大ドローダウンに対して約5.8倍の総利益が出ています。
一番資金が減った局面でも、総利益に対して5.8分の1以下の損失しか出なかったということです。
ただし、今回のストラテジーは逆張り戦略なので、最大ドローダウンを上回る額の一時含み損が出ている可能性はあります。
最大ドローダウンはあくまで決済ベースの値です。
含み損による証拠金割れを避けるために、レバレッジを下げて証拠金を多めに入れておいたほうが好ましいです。
・プロフィットファクターは1.76
非常に高い数字だと思います。
・平均トレード利益は2.86ドル
1枚(1万通貨)あたりの1往復の平均利益は平均306円なので、平均利益はかなり小さめです。
これはスプレッド考慮前の値です。1万通貨あたりのスプレッドはせいぜい1ドルですが、利益が2.86ドルだとスプレッド1ドルの影響はかなり大きくなってしまいます。
このように、平均利益が大きいとスプレッドの悪影響が大きくなるというデメリットがあります。
・勝率は64.9%
勝率はかなり高めです。ただ、勝率は単体ではあまり意味がなく、プロフィットファクターやペイオフレシオとセットで評価する必要があります。
・平均勝ちトレードは10.2ドル、平均負けトレードは11ドル
勝率が高めでありながら、勝ち額と負け額の比がほぼ同じです。
・ペイオフレシオ
ペイオフレシオは0.935です。
勝率を考慮するととても高い値だと思います。
ペイオフレシオについて…
ペイオフレシオ=平均利益額÷平均損失額
で算出します。
ペイオフレシオが1未満の時は逆数を見ます。
今回のペイオフレシオは0.935です。
0.935の逆数は1÷0.935=1.07です。
100円勝つのに対し、負けるときは107円ということです。
しかし勝率が約64.9%もあるので、資金が減る勢いより資金が増える勢いのほうがだいぶ大きくなります。
・トレードにおける平均バー数は3
今回使用したストラテジー「Breakout Range Short Strategy Backtest」では、
以前の記事でご紹介した「Breakout Range Long Strategy Backtest」の時と同じく、
トレードにおける平均バー数が3になりました。
以前投稿した「Breakout Range Long Strategy Backtest」の記事で詳しく解説しましたが、
こちらのストラテジーも、パラメータの計算期間にかかわらず平均バー数はほぼ3で安定しています。
このストラテジーではエントリーにもクローズにも始値を使うので、
3本のローソクを使っているときは
1本目のローソクの始値でエントリー→3本目のローソクでクローズ
という挙動になります。
つまり平均トレード時間はちょうど2時間です。
1時間足を使ったストラテジーでありながら、ながらも平均でたった2時間しか保有しません。
保有時間が長ければ長いほど、利益も損失も大きくなりやすいです。
平均2時間でトレードが終わるということは、リスクをかなり抑えられていることを示唆していると思います。
・勝ちトレードの平均バー数は3
・負けトレードの平均バー数は3
以前の記事でご紹介した「Breakout Range Long Strategy Backtest」の時は
勝ちトレードの平均バー数は2で、負けトレードの平均バー数は3でした。
トレードが長引くほど利益額も損失額も大きくなります。
従って、負けトレードの平均時間より勝ちトレードの平均時間のほうが短いのは好ましいことではありません。負けトレードの時間が長引く場合、損失が大きくなりやすいリスクを持っています。
しかし、今回は勝ち負けともに平均バー数は3です。
これは好ましいです。
しかも、負けトレードは平均で3本(しかも始値エントリー→始値クローズなので2時間)しか使わないので、リスクが抑制気味になっているように思います。
・利回り
約21か月で利益は481pipsです。
1万通貨につき481ドル=51,500円の利益。
証拠金15万円で1万通貨を運用した場合、21か月で利回り34%になります。
まあ悪くないですね。
以上、「Breakout Range Short Strategy Backtest」における期間(LookBack)=278の場合のパフォーマンスサマリーでした。
以前ご紹介した「Breakout Range Long Strategy Backtest」と同様に、今回の「Breakout Range Short Strategy Backtest」も小さな利益をたくさん積み立てる感じでした。
比較的安定して利益が積みあがっていく形になっていますが、平均利益が数ドルとかなり小さいので、スプレッドの影響を大きく受けることになりそうです。次回の記事で、スプレッドや収益再投資も考慮してさらにこの売買ルールの可能性を掘り下げてみましょう。