チャネルブレイクアウト戦略でEUR/USDを攻略する【中編】

前回の記事ではTrading Viewの公開ストラテジーである「Breakout Range Long Strategy Backtest」をEUR/USDの1時間足に適応し、デフォルト設定のLookBack=20、Trade Reverseをオン設定にした際の損益推移グラフをご紹介しました。

使用するストラテジー「Breakout Range Long Strategy Backtest」はもともとはチャネルブレイクアウトの順張りロジックですが、「Trade recverse」にチェックを入れると売りと買いがそっくり入れ替わって逆張り型の売買ロジックになります。
たとえば「Look Back」の設定期間が20で、かつ「Trade Reverse」にチェックを入れた場合では、過去20本分の最高値を更新したバーの次のバーの始値で売りエントリー(ショート)します。最高値が更新される限りは売りのままホールドし続け、最高値の更新が止まるとその次のバーの始値で決済するというロジックです。

このロジックはLookBackというパラメータ1種類のみです。LookBackはこのストラテジーが売買判断を行う際の計算に使用する期間(ローソクあるいはバーの本数)です。
「Trade Reverse」チェックボックスをオンにして逆張り型ロジックに変えたうえでこのパラメータを1から100まで変更してみたところ、有望そうな損益推移グラフが多数見つかりました。

今回はそれらを詳しくご紹介していこうと思います。

・「Breakout Range Long Strategy Backtest」EUR/USD 1時間足 LookBack=8 Trade Reverseオン の損益推移グラフ

期間(LookBack)が6まではイマイチですが、期間8以降から有望なグラフになっていきます。総利益は最大ドローダウンの6倍以上で、とても優れています。PFや勝率も高めです。
期間をどんどん増やしていきます。

・「Breakout Range Long Strategy Backtest」EUR/USD 1時間足 LookBack=15
Trade Reverseオン の損益推移グラフ

総利益があまりかわらないまま、最大ドローダウンが小さくなり、勝率はわずかに上昇、PFはかなり大きくなりました。全体的に期間8の時より好転しています。

・「Breakout Range Long Strategy Backtest」EUR/USD 1時間足 LookBack=28 Trade Reverseオン の損益推移グラフ

総利益は大きく減少しましたが、最大ドローダウンも減っており、総利益は最大ドローダウンの7倍以上あります。勝率やPFは期間15のときよりもさらに上がっています。

この先は総利益が減りながら最大ドローダウンも減っていきます。平均利益は徐々に増えていきます。期間100の時は次の通りです。

・「Breakout Range Long Strategy Backtest」EUR/USD 1時間足 LookBack=100 Trade Reverseオン の損益推移グラフ

取引回数が減っているため総利益も減っていますが、平均トレード益が増えています。
もっと期間を延ばしてみましょう。

・「Breakout Range Long Strategy Backtest」EUR/USD 1時間足 LookBack=150 Trade Reverseオン の損益推移グラフ

総利益がそこまで多く減らないまま最大ドローダウンが減り、平均トレード益が増えました。非常にいい傾向です。さらに期間を延ばしてみましょう。
・「Breakout Range Long Strategy Backtest」EUR/USD 1時間足 LookBack=200 Trade Reverseオン の損益推移グラフ

さすがに総利益は減ってしまいましたが、平均利益はさらに向上しました。
最後にもう一声行ってみましょう。

・「Breakout Range Long Strategy Backtest」EUR/USD 1時間足 LookBack=300 Trade Reverseオン の損益推移グラフ

これぞ理想!と言わんばかりの見事な損益推移グラフが出てきました。こういうトレードをするためにバックテストを頑張っているといっても過言ではありません。
この結果は期間200の時と比べて利益がほとんど変わらないまま最大ドローダウンが減り、平均利益が増えています。ただし、プロフィットファクターが3というかなり異常な値なので、実際に使う際にはパラメータの値を大きくし過ぎたせいで何かおかしなことが起きていないかは要検討事項です。実践前には入念にチェックする必要はあるかと思います。

■「Breakout Range Long Strategy Backtest」の売買ロジックを考察
ともあれ、この売買ロジックは設定期間が長いほど収益の安定感が増していく傾向があるようです。

また、この売買ロジックには他のロジックにはめったにみられない特殊な側面があります。

それは、計算期間を長くしても平均トレード時間が変わらないことです。

通常のロジックは期間を延ばせば延ばすほど1回のトレードにかかる時間が長くなり、リスクも大きくなっていきます。しかし、この売買ロジックは期間を増やしても1回のトレード時間は変わっていません。

どこを見ればそれがわかるのかというと、「トレードにおける平均バー数」です。これは1往復のトレードの平均時間を表していますが、上記でご紹介した期間8から期間300まで、「トレードにおける平均バー数」はすべて3です。期間をどんどん長くしいっても、期間が短い時と同じように平均3本でトレードが完了しています。

「平均3本で決済する」ということは何を意味するのでしょうか。これは要するに、1往復の取引に使うバーの数が平均で3本ということです。すなわち、エントリーしたローソクから次の次のローソクで決済しているということです。このとき、トレードにバーを3本使ったことになります。

また、このストラテジーではエントリーと決済の両方に始値を採用しているので、平均バー数が3ということはエントリー時の始値から次の次のバーの始値までがトレード期間なので、平均2時間でトレードが終わっていることになります。

設定期間に左右されず、平均2時間でトレードが終わる。これはかなり特殊な部類です。

ちょっと難しい話になってしまいますが、一般化すると「過去n本の最高値をブレイクしてから高値更新を維持できるバーの本数は、nの大きさを問わず、平均3本である」ということです。
それくらい高値更新は途絶えやすいということでしょう。

おそらく、ほとんどの場合で1本も高値更新を継続できず次のバーで決済(2本)しているように思います。その一方で、まれに長く高値更新を維持することがあり、それによって平均値が押し上げられている。
このような挙動によってトレードにおける平均バー数が3本に収まっているのではないでしょうか。

今回の検証結果は、ユーロドルの1時間足では「過去n本の高値を更新したら次の始値で売る」ということを淡々と繰り返していけばプラス収益になる可能性が高いということを示唆しているように思います。また、プラス収益になる期間nの値の幅はとても広く、8から300までおおむねプラスになります。ユーロドルのように様々な要因でめちゃくちゃに複雑な動きをする銘柄に対してワンルールのシンプルなロジックがこれほどよく機能することはかなり珍しいです。少なくとも、ボリンジャーバンドを使った売買戦略ではここまでうまく行く条件は見つけられませんでした。これは相当強力かつ有望なロジックだと思います。

次回の記事では、今回ご紹介したいくつかの売買期間をピックアップしてそれぞれのパフォーマンスサマリーを見ながら、さらに詳しく検証していきます。