
前回の記事でユーロドルの1時間足や15分足にボリンジャーバンドでのアプローチを試みました。結果はまずまずで、仮想通貨の時のように「これだ!」というほど有望なルールは残念ながら見つかりませんでした。
為替は仮想通貨のように価格が上がり続けることも大暴落することもほとんどありません。実需やファンダメンタルの影響もあるため複雑怪奇な値動きをすることも多く、一筋縄ではいきません。しかし、仮想通貨とは違って為替は莫大な需要に裏打ちられており、投資環境もよく整備されているため、エッジを見つけることができれば、利益再投資によってほとんど青天井に稼ぎ続けることができる魅力的な銘柄でもあります。
今回はユーロドルをチャネルブレイクアウト(ドンチャンチャネルもしくはハイローチャネルのブレイク)でアプローチしてみます。
■使用するストラテジー
TradingViewの内蔵ストラテジーの中にはチャネルブレイクアウトのストラテジーがあります。名前はそのままで「チャネルブレイクアウトストラテジー」です。ただ、この内蔵ストラテジーは売りと買いを別々に見ることができず、順張り戦略のみの固定となっており、売買の入れ替えができません。
そこで、今回はユーザーが作成したストラテジーである「公開ストラテジー」である「Breakout Range Long Strategy Backtest」と「Breakout Range Short Strategy Backtest」を用います。
【公開ストラテジーはリペイントに注意】
TradingViewの公開ストラテジーの中にはリペイント(都合の悪い取引をなかったことにする後出しじゃんけん型の売買ストラテジー)がたくさん含まれているため、公開ストラテジーを使用する際は注意が必要です。
大人気のストラテジーはプロフィットファクターが10以上で、勝率9割以上のものがゴロゴロありますが、すべてリペイント型で全く使い物になりません。リペイント型のストラテジーは使えば使うほど面白いくらい資金が減っていきます。絶対に使わないほうが良いでしょう。
筆者はTradingViewの公開ストラテジーを使用する際は実際に取引で使う前に動作を確認しています。皆様もTradingViewを使用する際はくれぐれもリペイントにお気を付けください。
この事情を知らずにTradingViewのストラテジーを使うのはとても危険なうえに時間の無駄になります。すでにご存じの方にとっては何の意味もない情報ですが、知らない方もとても多いと思うので、念のため本サイトの記事の中でもたびたび注意喚起しています。
さて、今回使用するストラテジーも公開ストラテジーの一つです。作者の方がリペイントを嫌っているようで、リペイントによく注意して対策しています。具体的には1本前のローソクの終値が確定してから売買判断を行い、始値で売買するシステムになっています。このため現在値で判断するストラテジーに比べると売買が遅れがちですが、リペイントの心配がとても低くなっています。
ただし、筆者が確認しているからと言って鵜呑みにしてはいけません。トレードへの活用を検討する際にはたとえ本サイトで紹介されたストラテジーであってもリペイントがないこと、正しく動作することを必ずご自身で事前に確認してください。インターネットで得た情報、特にトレードに関する情報は話半分にとどめ、残りの半分以上は必ず自分の手で、目で、頭で確かめることが重要です。リペイントへの注意については過去の記事をご覧ください。
以上のことに注意しつつ、公開ストラテジーの「Breakout Range Long Strategy Backtest」と「Breakout Range Short Strategy Backtest」を使用します。
■「Breakout Range Long Strategy Backtest」の売買ロジック
「Breakout Range Long Strategy Backtest」はチャネルブレイクアウト戦略のうち、ロングのみに絞ったものです。リペイントがないように慎重を期したロジックになっており、売買判断や売買レートとして、現在値ではなく終値と始値を使用しています。
※TradingViewでリペイントするストラテジーの多くは現在値を使っていますが、現在値を使う公開ストラテジーはバグが起こりやすく、使用の際には注意が必要です。
・設定
パラメータは「Look Back」1つだけです。過去何本のバー(ロウソク)を見るかというパラメータです。画面の場合は過去20本分の最高値と最安値を判断基準にします。
チェックボックスの「Trade reverse」がとても便利な機能です。これは売買ルールを保存したまま、売りと買いだけをそのまま入れ替えるというものです。一方的に損失が出続けるようなルールが見つかった場合、「Trade recverse」を有効にすると、一方的に利益が出続けるような損益推移グラフが得られます。単に損益推移グラフが見たいだけなら上下反転させれば確認できますが、ドローダウンやPFなど細かいパフォーマンスサマリーまで確認したい場合はグラフを反転させるだけではどうにもなりません。「Trade recverse」を使うことで売買をそっくり入れ替えた場合のパフォーマンスサマリーをチェックすることが可能になります。
・売買ロジック
「Look Back」の設定期間が20の場合、過去20本分の最高値を更新したバーの次のバーの始値で買います(ロング)。最高値が更新される限りは買いのままホールドし続け、最高値の更新が止まるとその次のバーの始値で決済するという順張りロジックです。このストラテジーはロング(買い)でのエントリーしか行わず、ショートのエントリーはありません。当然、ドテン売買もしません。
「Trade recverse」にチェックを入れると売りと買いがそっくり入れ替わります。「Look Back」の設定期間が20で、かつ「Trade Reverse」にチェックを入れた場合、過去20本分の最高値を更新したバーの次のバーの始値で売りエントリー(ショート)します。最高値が更新される限りは売りのままホールドし続け、最高値の更新が止まるとその次のバーの始値で決済するという逆張りロジックに変わります。チェックを入れた場合はショートでのエントリーしか行わず、ロングのエントリーはありません。チェックボックスナシの場合と同様、ドテン売買も行いません。
■「Breakout Range Long Strategy Backtest」をEUR/USDの1時間足に適用
このロジックを使ってEUR/USDの1時間足にアプローチします。まずは手数料を考慮しないで検証します。手数料やスプレッドをゼロに設定して検証をすると、一方的に損失が出ていくようなロジックが見つかった際は「Trade recverse」をチェックするだけで有望な売買ルールに早変わりします。
有望そうな売買ルールが見つかった際は手数料やスプレッドを盛り込んで詳細に検証します。取引量は10,000通貨固定です。検証期間は2018年1月1日から2019年9月18日です。設定は次の通りです。
・「Breakout Range Long Strategy Backtest」EUR/USD 1時間足 LookBack=20の損益推移グラフ
まずはチャネルブレイクアウトでよく使われる期間設定でもあるデフォルトの期間20の損益推移グラフを見てみます。
いきなりいい感じです。ほぼ一方的に損失が出ているので、売買を逆転させれば良好な損益推移グラフになるでしょう。
売買を逆転させた場合を確認するには「Trade Reverse」にチェックを入れます。
損益グラフは次の通りです。
・「Breakout Range Long Strategy Backtest」EUR/USD 1時間足 LookBack=20 Trade Reverseオン 損益推移グラフ
これはかなり良好な損益推移グラフですね。
デフォルトのパラメータでここまでいい結果が出るのは珍しいです。
さらに、パラメータを変更してみます。
今回のストラテジーはパラメータが1つしかないので調べるのも簡単です。
ということで1から100まで調べてみましたが、良好な損益推移グラフがかなり多かったです。こんなにいいものがたくさん出てくるストラテジーは珍しいです。ユーロドルの1時間足と非常に相性がいいと言えそうです。
これはなかなか期待できそうです。
次回はこのロジックをより詳しく掘り下げてみます。