
楽天グループの仮想通貨取引所「楽天ウォレット」
楽天ウォレット株式会社は、楽天株式会社(4755)の100%子会社である楽天ペイメント株式会社の子会社(=楽天の孫会社)です。楽天ウォレットは2019年夏にサービス開始予定でしたが、記事執筆時時点ではサービスは開始していません。
楽天ウォレットの出来高は?
サービス開始前のため出来高は不明です。ただしサービス概要によるとレート提示形式と思われ、その場合はサービス開始後も出来高がわからない可能性があります。
楽天ウォレットでアビトラをしたい場合は?
サービス開始前のため楽天ウォレットがアビトラに使えるかどうかは不明です。スプレッド次第と言えます。
楽天ウォレットはリップル(XRP)の取引が可能
日本ではビットコインに次ぐ人気があるリップルですが、楽天ウォレットではリップルの取引ができない見込みです。サービス概要によれば、楽天ウォレットの取引可能通貨ペアはBTC/JPY, ETH/JPY, BCH/JPYとなっています。
リップルを取引したい場合はビットバンク、LIQUID(QUOINE)、GMOコインがおすすめです。ビットポイントでもリップルの取引ができますが、2019年7月12日の仮想通貨流出事件を受け、記事執筆時点ではリップルを含む全取引が停止されています。
いい仮想通貨取引所の要件を評価
筆者が考えるいい仮想取引所の条件は次の通りです。
①セキュリティの高さ ②スプレッドの小ささ ③板の厚さ ④レバレッジ取引ができるかどうか ⑤手数料の安さ ⑥経営体の強さ
楽天ウォレットについてこれらの要素を評価します。
☆楽天ウォレットのセキュリティは?
仮想通貨はその性質もあって、セキュリティ面に問題を抱えています。日本を含め世界各地の仮想通貨取引所はこれまで何度もハッキングや仮想通貨盗難などの問題が発生しています。セキュリティは常に、すべての仮想通貨取引所における最重要課題になっており、トレーダーにとっても仮想通貨取引所のセキュリティは最重要事項です。
しかし、取引所のセキュリティ周りの内部体制がどうなっているのかは外から把握することができません。このため、楽天ウォレットのセキュリティがどうなっているかは評価が難しいです。
そこで、外部から客観的にサイトのセキュリティを計測する方法のひとつに、observatory.mozillaというサービスがあります。Mozillaは20年以上前からブラウザなどのウェブアプリケーションを開発している歴史ある専門業者です。このサービスを使うと誰でもあらゆるサイトのセキュリティ評価の採点が自動でできます。このサービスでの楽天ウォレット の採点結果はこちらです。
https://observatory.mozilla.org/analyze/www.rakuten-wallet.co.jp
この点数は随時変わりますが、記事執筆時点の点数35点で、評価はDでした。35点と聞くとずいぶん低いと思うかもしれませんが、この得点は決して低くありません。
国内の仮想通貨取引所には記事執筆時時点で0点の取引所が2か所あります。取引所以外ではセキュリティ対策を標ぼうしている業者が0点のこともあり、日本の省庁も0点のところは珍しくありません。銀行口座にログインできるメガバンクの公式サイトが1ケタ得点だったりします。
筆者調べではこれまで調べた国内仮想通貨取引所の中での最高得点はDeCurretの75点で、次いでLIQUID/QUOINEが70点、ビットバンクが65点です。ちなみに筆者が知る限り最高得点の取引所はBitMEXで、調査時点では105点という異常なほどの高得点です。
参考までに、東京大学は15点、googleは50点です。内閣サイバーセキュリティセンターは60点で、国内の省庁の中では突出して高いです。
このような評価基準なので35点は必ずしも悪くありません。基本0点になるような厳しい評価です。ただし、この評価基準はセキュリティに対する様々な評価手法の1つに過ぎません。従って、この得点が高いからといって直ちに高セキュリティであるとか、逆に評価点が低いからといって直ちに低セキュリティということは言えないでしょう。
とはいえ、この得点が高いほうが様々な要素を幅広く気にした対応がされていることが予想されるので、筆者は個人的にこの採点もセキュリティ面の安心材料の一つとみてそれなりに気にしています。35点はそこそこの得点といえます。
いずれにしても、この得点よりはるかに重要なのは顧客分の仮想通貨がちゃんとコールドウォレットで管理されているかどうかだと思います。本当にコールドウォレットで管理されているかどうかは外からはわからないので「信じるしかない」という世界になります。
仮想通貨取引所を使うことは、程度の大小こそあれ、不安と戦うことは避けられません。
楽天ウォレットの仮想通貨管理についてはこちらに書かれています。
https://www.rakuten-wallet.co.jp/service/management.html#
これによると顧客分の仮想通貨は分別管理されているとのことですが、残念ながらコールドウォレットという言葉は出てきません。また、“お客様の資産は分別管理されますが、お客様の資産の全額を返還することを保証するものではございません。”とも書かれています。
☆楽天ウォレットのスプレッドは?
スプレッドはトレーダーにとって手数料とほとんど同じ存在です。トレーダーも取引所も、スプレッドが広くて得することは何ひとつとしてありません。より有利なスプレッド条件を求めると出来高が重要な指標になります。
楽天ウォレットはサービス開始前のためスプレッドが不明です。
☆楽天ウォレットの板の厚さは?
板が厚い取引所ほど一度により大きな取引ができるので、資金力のある大口トレーダーが参加しやすくなり、さらに取引量が増えて板も厚くなっていくという正のフィードバックをもたらします。楽天ウォレットサービス開始前のため板の厚さは不明ですが、レート提示方式なので、同一レートでの全量約定であれば疑似的ながら板は非常に厚いといえます。
☆楽天ウォレットはレバレッジ取引できる?
楽天ウォレットのサービス概要によると、ポジション料について記載がありません。このことからレバレッジ取引はできないのではないかと思います。
☆楽天ウォレットの取引手数料は?
楽天ウォレットでは取引手数料は無料となるようです。したがって、実質的な手数料はスプレッド次第です。
ただし、仮想通貨取引所の手数料はよく変更されるので、常にご確認されることをお勧めします。楽天ウォレットの最新の手数料はこちらです。
https://www.rakuten-wallet.co.jp/service/overview.html
☆経営母体が強力であるか
仮想通貨取引所は上場企業の関連会社であることがあります。楽天ウォレットの親会社の親会社はあの楽天です。ハッキングや盗難などの大きな問題が起こったとき、補填などで頼れる後ろ盾があるのは安心要素につながります。もちろん上場企業に関連していないからと言って補填が見込めないというわけではありませんが、上場企業の関連会社であることは安心要素の一つだと思います。楽天の関連会社ということは、何かトラブルがあったときのことを考えても安心要素の一つになるのではないでしょうか。
楽天ウォレットのメリット・デメリット
あくまで記事執筆時時点の筆者調べの情報ですが
〇手数料が無料
〇楽天の関連会社
×レバレッジ取引ができない
×APIが使えない
×コールドウォレットが明記されていない
×板取引ではない(ものと思われる)
×リップルが取引できない
楽天ウォレットのまとめ
楽天の関連会社ということで相応の安心感があります。ただし、リップルが取引できないようで、レバレッジ取引ができず、板取引でなくレート提示方式であると思われます。
サービス開始前なのでスプレッドなど詳細は不明です。レート提示方式はとにかくスプレッドと約定力次第だと思います。スプレッドが狭く、大口でもサクサク約定するのであれれば楽天ウォレットは選択肢の一つになると思います。
(記事の内容は執筆時時点の筆者調べの情報です。最新情報は各位ご確認ください。)