
Yahoo子会社が出資する仮想通貨取引所TAOTAO
TAOTAOは2019年の5月にサービスが始まったばかりの新しい仮想通貨取引所です。
TAOTAOを運営するTAOTAO運営会社にはYahooの子会社であるZコーポレーションが40%出資しています。取引方式は板取引ではなくレート提示形式のみとなっています。
TAOTAOの出来高は?
取引所の出来高が大きいほどトレーダーにとっては有利な取引環境になるため、仮想通貨取引所を選ぶ際に出来高はセキュリティの次くらいに非常に重要な要素です。
しかしTAOTAOではレート提示方式となっており、残念ながらTAOTAOの出来高は不明です。
TAOTAOでアビトラをしたい場合は?
TAOTAOではAPIが使えないことから目視での確認を行う必要があります。このため、残念ながらまだ筆者はTAOTAOでのアビトラの可否、可能性を観測できていません。TAOTAOに現物とレバレッジ取引がありますが、記事執筆時時点の現物のビットコイン取引はスプレッドが25,000円も開いており、利用するには非現実的な販売所並みの超広スプレッドです。
一方、記事執筆時時点のレバレッジ取引のビットコインのスプレッドは2000円で、広めではあるものの実用性のあるスプレッドです。これくらいのスプレッドであればアビトラができる可能性があります。大荒れの際にスプレッドが過剰に広がるパターンではアビトラは困難ですが、スプレッドがある程度保たれていればアビトラができる可能性があります。大荒れ時のスプレッドを観測し次第、追記します。
※筆者は昼夜問わず大きくレートが動いた際にはAPIの利用によりアラートがなるトレード環境を作っていますが、大荒れ時の筆者は取引に神経を集中してアビトラの価格差を取りに行くことに集中していることが多いので、ただのレート確認は後回しになってしまいがちです
※TAOTAOのチャートではASKとBIDが別々に表示できるので、1分足チャートの荒れているバー(1分で1,090,000円から18,000円下落したバー)の最安値・最高値で確認したところ、スプレッドは2600円~2800円くらいと予想されます。もしも大荒れ時にこれくらいのスプレッドだとすれば、アビトラにも使える可能性があります。
TAOTAOはリップル(XRP)の取引が可能
日本ではビットコインに次ぐ人気があるリップルですが、TAOTAOではリップルの取引が可能です。
ただし、問題はスプレッドの広さです。記事執筆時点では特にマーケットは荒れていませんが、リップルのスプレッドは1円開いていました。
30円台で1円のスプレッドは0.3%にも相当し、深刻な大きさです。1円差益を取れれば十分な利益で、これが1往復のたびにかかってしまうのは痛いです。
販売所ほど大きくはありませんが、個のスプレッドの広さでは頻繁に取引するのは難しいと思います。
リップルを取引したい場合はビットバンク、LIQUID(QUOINE)、GMOコインがおすすめです。ビットポイントでもリップルの取引ができますが、2019年7月12日の仮想通貨流出事件を受け、記事執筆時点ではリップルを含む全取引が停止されています。
いい仮想通貨取引所の要件を評価
筆者が考えるいい仮想取引所の条件は次の通りです。
①セキュリティの高さ ②スプレッドの小ささ ③板の厚さ ④レバレッジ取引ができるかどうか ⑤手数料の安さ ⑥経営体の強さ
TAOTAOについてこれらの要素を評価します。
☆TAOTAOのセキュリティは?
仮想通貨はその性質もあって、セキュリティ面に問題を抱えています。ご存じの通り日本を含め世界各地の仮想通貨取引所はこれまで何度もハッキングや仮想通貨盗難などの問題が発生しています。セキュリティは常に、すべての仮想通貨取引所の課題になっており、トレーダーにとっても仮想通貨取引所のセキュリティは最重要事項です。
しかし、取引所のセキュリティ周りの内部体制がどうなっているのかは外から把握することができないので、TAOTAOのセキュリティがどうなっているかは評価が難しいところです。
そこで、外部から客観的にサイトのセキュリティを計測する方法のひとつに、observatory.mozillaというサービスがあります。Mozillaは20年以上前からブラウザなどのウェブアプリケーションを開発している歴史ある専門業者です。このサービスを使うと誰でもあらゆるサイトのセキュリティ評価の採点が自動でできます。このサービスでのTAOTAO の採点結果はこちらです。
https://observatory.mozilla.org/analyze/trade.taotao-ex.com
この点数は随時変わりますが、記事執筆時点の点数65点で、評価はB-でした。65点と聞くとイマイチに思うかもしれませんが、この得点はかなりの高得点です。
国内取引所には記事執筆時時点で0点の取引所が2か所あります。取引所以外ではセキュリティ対策を標ぼうしている業者が0点のこともあり、日本の省庁も0点のところは珍しくありません。銀行口座にログインできるメガバンクの公式サイトが1ケタ得点だったりします。
筆者調べではこれまで調べた国内仮想通貨取引所の中での最高得点はDeCurretの75点で、次いでLIQUID/QUOINEが70点、ビットバンクが65点です。ちなみに筆者が知る限り最高得点の取引所はBitMEXで、調査時点では105点という異常なほどの高得点です。
参考までに、東京大学は15点、googleは50点です。内閣サイバーセキュリティセンターは60点で、国内の省庁の中では突出して高いです。
このような評価基準なので65点は相当な高得点です。基本0点になるような厳しい評価です。ただし、この評価基準はセキュリティに対する様々な評価手法の1つに過ぎません。従って、この得点が高いからといって直ちに高セキュリティであるとか、逆に評価点が低いからといって直ちに低セキュリティということは言えないでしょう。
とはいえ、この得点が高いほうが様々な要素を幅広く気にした対応がされていることが予想されるので、筆者は個人的にこの採点もセキュリティ面の安心材料の一つとみてそれなりに気にしています。その点、65点はかなりの高得点ですので、プラス評価していいと思います。
いずれにしても、この得点よりはるかに重要なのは顧客分の仮想通貨がちゃんとコールドウォレットで管理されているかどうかだと思います。本当にコールドウォレットで管理されているかどうかは外からはわからないので「信じるしかない」という世界になります。
仮想通貨取引所を使うことは、程度の大小こそあれ、不安と戦うことは避けられません。
記事執筆時時点でセキュリティ対策についてのみ書かれたページはありませんが、TOPページの
https://taotao-ex.com/
に簡潔に書かれています。これによると顧客分仮想通貨はコールドウォレットで管理され、マルチシグネチャーも導入しているようです。このようなセキュリティ体制が明記されているのはユーザーにとって安心材料の一つになりますし、ありがたいことだと思います。もちろん、略式の記載ではなく「セキュリティ対策」と専用ページを作って詳しく紹介していただけるとより安心です。
☆TAOTAOのスプレッドは?
スプレッドはトレーダーにとって手数料とほとんど同じ存在です。トレーダーも取引所も、スプレッドが広くて得することは何ひとつとしてありません。より有利なスプレッド条件を求めると出来高が重要な指標になりますが、残念ながらTAOTAOのBTCは出来高が不明で、スプレッドはとても広いです。
ビットコイン現物のスプレッドは記事執筆時時点でレート103万円台に対し25000円ものスプレッドが開いていました。残念ながら実用性に乏しいと言わざるを得ません。
一方、レバレッジ取引のスプレッドは記事執筆時時点でビットコインは2000円、リップルは1円でした。
ついでにイーサリアムは100円、ビットコインキャッシュは1000円、ライトコインは20円でした。
見た感じ、レバレッジ取引のスプレッドは基本固定されていて、荒れたときには少し広がるようです。
リップル、ビットコインキャッシュのスプレッドは実用性に厳しさがあるように感じますが、ビットコイン、イーサリアム、ライトコインは実用的なスプレッドだと思います。
また、ビットコインのスプレッドはやや広めでとはいえ、固定で全量約定が可能だとすると十分実用的なスプレッドです。というのも、1ショット数十BTCを注文すると板が動いて実質スプレッドが広がってしまいます。
もしも数十BTCや100BTCの大口注文がスプレッド2000円でレート通りに滑らず、約定拒否やラグがなく即時約定するのであればむしろかなり魅力的な取引条件といえそうです。
☆TAOTAOの板の厚さは?
板が厚い取引所ほど一度により大きな取引ができるので、資金力のある大口トレーダーが参加しやすくなり、さらに取引量が増えて板も厚くなっていくという正のフィードバックをもたらします。しかし、TAOTAO はレート提示方式で板はありません。もしも大口でもレートがずれずに瞬時に全量が約定するのであれば、実質的に板が非常に分厚いのと同じことと言えるでしょう。
☆TAOTAOはレバレッジ取引できる?
TAOTAOではレバレッジ取引ができます。取引ツールもデフォルトではレバレッジ取引がメインと思われるつくりになっていて、TAOTAOはレバレッジ取引用のサービスと考えてもいいと思います。
☆TAOTAOの取引手数料は?
TAOTAOでは現物・レバレッジともに取引手数料は無料です。TAOTAOの現物はスプレッドは極めて大きめで厳しいですが、レバレッジ取引のスプレッドは通貨によっては現実的なレベルです。レバレッジ取引の場合ポジション手数料が1日に0.04%かかります。
仮想通貨取引所の手数料はよく変更されるので、常にご確認されることをお勧めします。TAOTAOの最新の手数料はこちらです。
https://taotao-ex.com/cost
☆経営母体が強力であるか
仮想通貨取引所は上場企業の関連会社であることがあります。TAOTAOの運営会社にはYahoo!の子会社が出資しています(ただし、現状ではYahoo!の子会社が筆頭株主ではないようです)。ハッキングや盗難などの大きな問題が起こったとき、補填などで頼れるバックがいるのは安心要素につながります。上場企業に関連していないからと言って補填がないわけではありませんが、上場企業の関連会社であることは安心要素の一つだと思います。Yahoo!の関連会社ということは、何かトラブルがあったときも安心要素の一つになるのではないでしょうか。
TAOTAOのメリット・デメリット
〇手数料が無料
〇Yahoo!の関連会社
〇mozillaのセキュリティ評価点が高め
×APIが使えない
×現物のスプレッドが非常に大きい
×レバレッジのスプレッドが広め
×板取引ではない
TAOTAOのまとめ
現状ではTAOTAOの現物は販売所レベルのスプレッドで、残念ながら非常に不利な取引環境です。取引方式はレート提示方式のみで取引所形式ではなく、APIも使えません。
一方、レバレッジ取引は通貨によってまちまちですが、実用的なスプレッドの通貨もあります。ビットコインレバレッジ取引のスプレッドはやや広めではあるものの、もしも大口注文でも全量が即時約定するのであれば、大口トレーダーにとって魅力的な環境と言えそうです。
(記事の内容は執筆時時点の筆者調べの情報です。最新情報は各位ご確認ください。)