
ビットポイントジャパンは上場企業の子会社が運営
ビットポイントジャパンは上場企業であるリミックスポイントが運営する国内仮想通貨取引所です。ビットポイントジャパンでは7月11日に仮想通貨流出があり、現在全サービスを停止しています。サービス再開は未定で、再開後にどのようなサービスになるかは不透明ですが、本記事では流出前のビットポイントジャパンのサービスをご紹介します。
コインチェックの事例では流出後にレバレッジ取引が停止されて現在も再開していません。ビットポイントジャパンも、再開されてもレバレッジ取引が停止されるかもしれません。
ビットポイントジャパンの出来高は?
取引所の出来高が大きいほどトレーダーにとっては有利な取引環境になるため、仮想通貨取引所を選ぶ際に出来高はセキュリティの次くらいに非常に重要な要素です。
ビットポイントジャパンの2019年6月のビットコイン現物の出来高は3万2300BTC、ビットコインレバレッジ取引の出来高3万200BTCでした。残念ながら出来高は少なめです。
■ビットポイントジャパンでアビトラをしたい場合は?
ビットポイントジャパンは出来高があまり大きくないためスプレッドも広めです。ただし、出来高があまり大きくないということは参加者も少ないのでレートが乖離しやすくなります。参加者が少なすぎても不利ですが、逆に参加者が十分多いとレートが最適価格に近くなり、乖離しにくくなります。ビットポイントやビットバンク、ZAIFの現物出来高はアビトラをするのにちょうどいい少なさです。アビトラをしたい場合はビットポイントの口座を持っていても損はないでしょう。
■ビットポイントジャパンはリップル(XRP)の取引が可能
日本ではビットコインに次ぐ人気があるリップルですが、ビットポイントジャパンではリップルの取引が可能です。ビットポイントジャパンのリップル出来高は少なめで、スプレッドもそこそこありましたが、実用の範囲内でした。
リップルはマーケットが荒れた際にビットコインよりもレートが乖離しやすく、送金時間が短いので送金式のアビトラに有利な通貨です。
ただし、頻繁に取引する場合はスプレッドがちょっと気になるので、リップルを頻繁に取引したい場合はビットバンク、LIQUID(QUOINE)を使うのがおすすめです。
あまり頻度がなくホールド期間が長いトレードスタイルであればビットポイントジャパンやGMOコインでリップルを取引しても特に問題ないでしょう。
いい仮想通貨取引所の要件を評価
筆者が考えるいい仮想取引所の条件は次の通りです。
①セキュリティの高さ ②スプレッドの小ささ ③板の厚さ ④レバレッジ取引ができるかどうか ⑤手数料の安さ ⑥経営体の強さ
ビットポイントジャパンについてこれらの要素を評価します。
☆ビットポイントジャパンのセキュリティは?
仮想通貨はその性質もあって、セキュリティ面に問題を抱えています。ご存じの通り日本を含め世界各地の仮想通貨取引所はこれまで何度もハッキングや仮想通貨盗難などの問題が発生しています。セキュリティは常に、すべての仮想通貨取引所の課題になっており、トレーダーにとっても仮想通貨取引所のセキュリティは最重要事項です。ビットポイントジャパンもまさに仮想通貨盗難の被害を受け、被害総額は30億円にもなりました。
取引所のセキュリティ周りの内部体制がどうなっているのかは外から把握することができないので、ビットポイントジャパンのセキュリティがどのようになっているかは評価が難しいところです。
そこで、外部から客観的にサイトのセキュリティを計測する方法のひとつに、observatory.mozillaというサービスがあります。Mozillaは20年以上前からブラウザなどのウェブアプリケーションを開発している歴史ある専門業者です。このサービスを使うと誰でもあらゆるサイトのセキュリティ評価の採点が自動でできます。このサービスでのビットポイントジャパン の採点結果はこちらです。
https://observatory.mozilla.org/analyze/bitpoint.co.jp
この点数は随時変わります。過去の履歴を見ると点や0点だったことも45点だったこともあります。
記事執筆時点の点数は40点で、評価はDです。かなり悪い点に思えますが、悪くない値です。20点以下の仮想通貨取引所もあたりまえにあり、デフォルトでは0点で、国内取引所には0点の取引所も2か所あります。取引所以外ではセキュリティ対策を標ぼうしている業者が0点のこともあり、日本の省庁も0点のところは珍しくありません。銀行口座にログインできるメガバンクの公式サイトが1ケタ得点だったりします。たとえば東京大学は15点、googleは50点です。ちなみに内閣サイバーセキュリティセンターは60点で、国内の省庁の中では突出して高いです。
筆者調べでは現在日本の取引所の中で最高得点はビットバンクの70点で、次いでLIQUID/QUOINEが65点です。また、筆者が知る限り最高得点の取引所はBitMEXで、調査時点では105点という異常な高得点でした。
このような評価基準なので40点はそれなりにいい得点です。
もちろん、この評価基準はセキュリティに対する様々な評価手法の1つに過ぎません。従って、この得点が高いからといって直ちに高セキュリティであるとか、逆に評価点が低いからといって直ちに低セキュリティということは言えないでしょう。ただ、この得点が高いほうが様々な要素を幅広く気にした対応がされていることが予想されるので、筆者は個人的にセキュリティ面の安心材料の一つとみて評価しています。
また、この得点よりはるかに重要なのは顧客分の仮想通貨がちゃんとコールドウォレットで管理されているかどうかです。本当にコールドウォレットで管理されているかどうかは外からはわからないので「信じるしかない」という世界になります。
コインチェックで流出した580億円相当のNEMも、ZAIFで流出した50億円相当の仮想通貨も、そして先日ビットポイントジャパンで流出した30億円相当の仮想通貨も、すべてホットウォレットで管理されていた仮想通貨です。いかにホットウォレット管理が高リスクかが、これらの事例からもわかります。
ビットポイントジャパンのセキュリティについて
https://www.bitpoint.co.jp/security/
に詳細が書かれています。
こちらではコールドウォレット管理については触れられていません。仮想通貨取引所のセキュリティを考える際、コールドウォレット管理がなされているかはよく見たほうがいいよ思います。ビットポイントジャパンも再開にあたってコールドウォレット管理が行われると予想します。
☆ビットポイントジャパンのスプレッドは?
スプレッドはトレーダーにとって手数料とほとんど同じ存在です。トレーダーも取引所も、スプレッドが広くて得することは何ひとつとしてありません。より有利なスプレッド条件を求めると出来高が重要な指標になりますが、残念ながらビットポイントジャパンの出来高は少なめでスプレッドは少々広めでした。メインで頻繁に取引するにはあまり向いていないかもしれません。
しかし使い物にならないほどのスプレッドではないので、頻繁に取引するのでなければ使えると思います。
☆ビットポイントジャパンの板の厚さは?
板が厚い取引所ほど一度により大きな取引ができるので、資金力のある大口トレーダーが参加しやすくなり、さらに取引量が増えて板も厚くなっていくという正のフィードバックをもたらします。残念ながらビットポイントの板はあまり厚くありませんでした。
☆ビットポイントジャパンはレバレッジ取引できる?
ビットポイントジャパンではビットコインのレバレッジ取引が可能でした。ただ、コインチェックの事例では流出事件後にレバレッジ取引が停止されたまま再開していません。一方、ZAIFではレバレッジ取引の一種であるFXが可能になっています。ビットポイントジャパンのサービスが再開した際にレバレッジ取引がどうなるかは不透明です。
☆ビットポイントジャパンの取引手数料は?
ビットポイントジャパンの取引手数料は現物、レバレッジともに無料です。かかる手数料はレバレッジ取引のポジション料で、1日に0.035%かかるだけです。
スプレッドは少々広めですが、取引手数料が無料でポジション手数料も国内最安ですので、手数料は非常に安い取引所です。
こちらは手数料の比較表です。
ただし仮想通貨取引所の手数料はよく変更されるので、常にご確認されることをお勧めします。ビットポイントジャパンの手数料情報はこちらです。
https://pdf.bitpoint.co.jp/pdf/kitei/leverage_agreement.pdf
☆経営母体が強力であるか
仮想通貨取引所は上場企業の関連会社であることがあります。ビットポイントジャパンは上場企業リミックスポイントの関連会社です。ハッキングや盗難などの大きな問題が起こったとき、補填などで頼れるバックがいるのは安心要素につながります。上場企業に関連していないからと言って補填がないわけではありませんが、上場企業の関連会社であることは安心要素の一つだと思います。
また、7月11日の仮想通貨流出については、流出分の仮想通貨はすべて仮想通貨現物で返還する予定で、変換用の仮想通貨はすでに調達済みとのことです。
https://contents.xj-storage.jp/xcontents/AS08938/01d9979e/4781/4355/8e2c/aaf94fcc6ab8/20190716150750381s.pdf
もちろん何事もないことが一番大事で理想的ですが、万が一何かあったときにしっかり補償し、責任を取ってくれることは非常に重要だと思います。
■ビットポイントジャパンのメリット・デメリット
〇レバレッジ取引が可能
〇上場企業の関連会社
〇リップルをはじめ複数のアルトコインの取引が可能
〇手数料が非常に安い
〇流出した仮想通貨は補償される予定
×スプレッドがやや広め
×30億円相当の仮想通貨流出事件が起きた
■ビットポイントジャパンのまとめ
ビットポイントジャパンはビットコインとリップルを含む複数の仮想通貨が板取引可能で、ビットコインのレバレッジ取引も可能です。スプレッドは少々広いですが、手数料は非常に安いです。
残念ながら仮想通貨流出事件が起きてしまいましたが、全額補償の見込みであり、サービス再開に向けて取り組んでいるとのことです。厳しい状況だとは思いますが、セキュリティ体制を整えて再開されることを期待しています。
(記事の内容は執筆時時点の筆者調べの情報です。最新情報は各位ご確認ください。)