ビットコインFXもできる仮想通貨取引所ZAIFの過去と現在

かつて日本最大級の仮想通貨取引所だったZAIFの現状

ZAIFはかつて日本の仮想通貨取引所の中でもかなり大きな出来高があった取引所です。2018年1月末のコインチェックの流出事件の後、コインチェックの受け皿の一つとなり、2018年の2月から半年ほどはLIQUID(QUOINE)の出来高をも上回っていました。2018年の4月から6月は月間出来高が100万BTCを超え、ピークの2018年6月には120万BTCもの出来高がありました(※FX・信用取引を含む)。
順調に成長していたZAIFですが、レート飛躍や販売所のバグ問題、不正送金騒動が起こったり、質問の回答に数日を要したり、不親切であったり、バックアップコードが何度でも印刷できる状態になっているなど、様々な問題やセキュリティの甘さがたびたび指摘されていました。そして2018年9月に約70億円の流出事件が発生します。これを境にZAIFの出来高は減少を続け、最盛期に比べると現在の出来高はかなり小さくなっています。ただ、FXの出来高は今でもかなりあります。

■ZAIFはリップル(XRP)の取引ができない

日本ではビットコインに次ぐ人気があるリップルですが、残念ながらZAIFではリップルが取引できません。

リップルを取引したい場合はビットバンク、LIQUID(QUOINE)、GMOコインを使いましょう。ビットポイントでもリップルの取引ができますが、2019年7月12日の仮想通貨流出事件を受け、記事執筆時点ではリップルを含む全取引が停止されています。

■ZAIFはNEM(XEM)の板取引ができる

ZAIFではリップルの取引はできませんが、NEM(XEM)の取引は可能です。しかも販売所ではなく板取引の形式で、世界でも有数の出来高があります。このためスプレッドも狭くなっており、有利な価格で売買できます。NEM取引についてはZAIFは国内で最も取引環境が優れています。NEMを取引したい場合、ZAIFはオススメの取引所です。

■ZAIFはビットコインFXの板取引ができる

ZAIFではビットコインFXの板取引も可能です。2019年6月におけるZAIFのBTCFXの出来高は35万BTCで、bitflyerFX(bfFX)の10分の1以下ですが、現物取引と比べればかなり大きい出来高です。かつては異常なレートの乖離(ワープ)があって問題にもなりましたが、最近は以前のような極端なワープは起こっていないようです。保有ポジションの逆方向にワープが起こると瞬間的に証拠金を割ってしまう可能性があり、レバレッジ取引において大きなリスクです。
過去にワープの事例があろうとなかろうと、仮想通貨自体がワープしやすい性質を持っています。レバレッジ取引では常にワープの可能性に配慮して証拠金に余裕を持たせておくほうがいいでしょう。

■ZAIFでアビトラをしたい場合は?

ビットコインのアビトラをやる場合ZAIFの口座は持っていたほうが好ましいです。ZAIFは他の取引所とレートがズレやすい取引所です。
国内取引所間ではLIQUID/QUOINEのレートが低くなりやすく、ZAIFを含め、LIQUID以外の取引所のレートが高くなりやすい傾向があります。したがって本気でアビトラをやるならZAIFの口座も持っていたほうがいいです。

いい仮想通貨取引所の要件を評価

筆者が考えるいい仮想取引所の条件は次の通りです。
①セキュリティの高さ ②スプレッドの小ささ ③板の厚さ ④レバレッジ取引ができるかどうか ⑤手数料の安さ ⑥経営体の強さ
ZAIFについてこれらの要素を評価します。

☆ZAIFのセキュリティは?

仮想通貨はその性質もあって、セキュリティ面に問題を抱えています。ご存じの通り日本を含め世界各地の仮想通貨取引所はこれまで何度もハッキングや仮想通貨盗難などの問題が発生しています。セキュリティは常に、すべての仮想通貨取引所の課題になっており、トレーダーにとっても仮想通貨取引所のセキュリティは最重要事項です。

ZAIFは70億円の仮想通貨流出歴あり→半年以上かけて補填

ZAIFは2018年9月不正アクセスされ、ビットコイン、ビットコインキャッシュ、モナコイン合わせて70億円相当もの仮想通貨が流出しました。コインチェックの流出事件と同様に、ホットウォレットで管理されていた通貨が流出で、改めてホットウォレット管理の危険性とセキュリティの甘さが指摘されました。

その後、ZAIFは約50億円の金融支援を条件に、上場企業フィスコへ事業譲渡されます。
https://corp.zaif.jp/info/10789/

また、被害を受けたユーザーに対しては補償に承諾した順に段階的に補償がなされ、2019年の4月に完了しています。
ZAIFは流出を機に経営母体が変わり、上場企業による運営となりました。

ZAIFのセキュリティ採点をチェック

かつてZAIFを使う際はかなりの不安を抱いていてアビトラでもできるだけ避けていましたが、流出事件の補填を行い、倒産せず乗り切って上場企業フィスコの運営に切り替わったことから、筆者は現在のZAIFには一定の安心感を持っています。ただ、バックアップコードが何度も印刷できる状態になっているのはいまも変わらないので、これは廃止してほしいですが…。また、セキュリティが向上したかどうか。取引所のセキュリティ周りの内部体制がどうなっているのかは外から把握することができないので、ZAIFのセキュリティがどうなっているかは評価が難しいところです。

そこで、外部から客観的にサイトのセキュリティを計測する方法のひとつに、observatory.mozillaというサービスがあります。Mozillaは20年以上前からブラウザなどのウェブアプリケーションを開発している歴史ある専門業者です。このサービスを使うと誰でもあらゆるサイトのセキュリティ評価の採点が自動でできます。このサービスでのZAIF の採点結果はこちらです。
https://observatory.mozilla.org/analyze/zaif.jp

この点数は随時変わります。ZAIFの過去の得点履歴を見ると0点や5点だったこともありますが、
記事執筆時点の点数は35点で、評価はDです。ものすごく低い点に思えますが、実は結構高い値です。20点以下の取引所もあたりまえにあり、デフォルトでは0点です。フィスコはZAIFを買収する前からもう一つ別の取引所を運営していますが、そちらの取引所の得点は0点です。取引所以外ではセキュリティ対策を標ぼうしている業者が0点のこともあり、日本の省庁も0点のところは珍しくありません。銀行口座にログインできるメガバンクの公式サイトが1ケタ得点だったりします。
筆者調べでは現在日本の取引所の中で最高得点はビットバンクの70点で、次いでLIQUID/QUOINEが65点です。また、筆者が知る限り最高得点の取引所はBitMEXで、調査時点では105点という異常な高得点でした。
参考までに、東京大学は15点、googleは50点です。ちなみに内閣サイバーセキュリティセンターは60点で、国内の省庁の中では突出して高いです。
このような評価基準なので35点はそれなりに高い得点といえそうです。基本0点になるような厳しい評価だからです。

もちろん、この評価基準はセキュリティに対する様々な評価手法の1つに過ぎません。従って、この得点が高いからといって直ちに高セキュリティであるとか、逆に評価点が低いからといって直ちに低セキュリティということは言えないでしょう。ただ、この得点が高いほうが様々な要素を幅広く気にした対応がされていることが予想されるので、筆者は個人的にセキュリティ面の安心材料の一つとみて評価しています。
また、この得点よりはるかに重要なのは顧客分の仮想通貨がちゃんとコールドウォレットで管理されているかどうかです。コインチェック(580億円)もZAIF(70億円)もビットポイント(30億円)も流出したのはすべてホットウォレットの仮想通貨でした。
過去の事例から考える限り、コールドウォレット管理なら安心度は高そうです。ただ、本当にコールドウォレットで管理されているかどうかは外からはわからないので「信じるしかない」という世界になります。
ZAIFは一度ホットウォレットでのトラブル経験があり、上場企業フィスコの運営に変わったのでおそらくきちんとしてくれているだろうと信じるしかありません。仮想通貨取引所を使うことは、程度の大小こそあれ、不安と戦うことは避けられません。

☆ZAIFのスプレッドは?

スプレッドはトレーダーにとって手数料とほとんど同じ存在です。トレーダも取引所も、スプレッドが広くて得することは何ひとつとしてありません。かつてZAIFは出来高が大きく、スプレッドが狭かったのですが、今は出来高が減ってしまい、それなりのスプレッドが開いています。

☆ZAIFの板の厚さは?

板が厚い取引所ほど一度により大きな取引ができるので、資金力のある大口トレーダーが参加しやすくなり、さらに取引量が増えて板も厚くなっていくという正のフィードバックをもたらします。ZAIF の板はかつてかなりの分厚さを誇っていましたが、残念ながら今は薄めです。数BTCのトレードをしたい場合は板の様子をみて量を調整したり、売買を分割したり、成り行きを避けて指値を置いて約定を待つといった配慮が必要です。

☆ZAIFはレバレッジ取引できる?

ZAIFでは「信用取引」としてレバレッジ取引ができます。しかも、LIQUIDのように現物とレバレッジ取引の板が共有されている魅力的な形式です。レバレッジも最大7.77倍と、他の国内取引所が4倍を上限にしている中で高めです。ただ、ZAIFの信用取引では成り行きができないのでその点は不便で、慣れを要します。

☆ZAIFの取引手数料は?

ZAIFのビットコイン現物の手数料は無料です。
一方、信用・FXの取引手数料は少々特殊な体系です。下記の表をご覧ください。他の取引所との比較もできます。

ただ、取引所の手数料はよく変更されます。上記の表は執筆時点のもので、アルトコイン現物の取引手数料も含まれていません。最新の手数料やアルトコインの取引手数料については
https://zaif.jp/fee?lang=ja
をご確認ください。

☆経営母体が強力であるか

仮想通貨取引所は上場企業の関連会社であることがあります。ハッキングや盗難などの大きな問題が起こったとき、補填などで頼れるバックがいるのは安心要素につながります。ZAIF はフィスコが運営しています。補填関係は最終的には資金力によるので、上場企業に関連していないからと言って補填がないわけではありませんが、上場企業の関連会社であることは安心要素の一つです。
また、先述の通り約70億円の仮想通貨流出に対して補填が済んでいます。「いざというときに支払える限りは補填してくれる」という信用、実績がZAIFにはあります。流出経験から立ち直ったことも今後のセキュリティ対策にプラスの面が少なからずあると思います。

■ZAIFのメリット・デメリット

〇ZAIF の取引手数料は無料
〇ZAIFは上場企業の関連会社
〇ZAIFは仮想通貨流出事件の後に補填した実績がある
〇レバレッジ取引が可能
〇ビットコインFXが可能
〇NEMが取引可能
×リップルが取引できない
×約70億円の仮想通貨流出歴あり

■ZAIFのまとめ

ZAIF は一時期は国内最大級の仮想通貨取引所でした。流出事件を機にユーザーは離れましたが、運営会社が上場企業に代わり、補填を済ませて破綻せずに事業が継続しています。現物と同じ板で信用取引ができ、FXの出来高はかなり大きく、NEMは最も有利に取引できるなど、ユーザーにとってZAIFを使う理由・動機が複数あります。筆者はアビトラで使う程度ですが、用途次第ではメインの取引所になり得るのではないでしょうか。

(記事の内容は執筆時時点の筆者調べの情報です。最新情報は各位ご確認ください。)