
ネット証券の覇者SBIグループ関連会社の仮想通貨取引所 SBIVCトレード
SBIVCトレードはネット証券の覇者であるSBI証券を筆頭とするSBIグループの関連企業が運営する仮想通貨取引所です。SBIが運営する仮想通貨取引所ということで、筆者も大きな信用と期待を寄せています。ただ、現状では取引所形式でなく、レート提示方式のみとなっており、レバレッジ取引ができないため買いからしか入れず、スプレッドも非常に大きいです。残念ながら現状では販売所とあまり変わりません。筆者をはじめ、SBIVCトレードに取引所形式の開始を熱望しているユーザーも少なくないでしょう。
■SBIVCのビットコイン出来高は不明
販売所形式となっており、SBIVCの出来高は不明です。また、APIもありません。
■SBIVCトレードではリップルの取引が可能
日本ではビットコインに次ぐ人気があるリップルは、SBIVCトレードで取引可能です。ただし、板取引ではないので残念ながらスプレッドは取引所よりも大きめです。
とはいえ、販売所に比べればかなり小さめのスプレッドです。また、ビットコイン同様リップルの出来高も不明です。
リップル売買のスプレッド比較
仮想通貨の売買では、場合スプレッドが手数料以上に重要になることが本当に良くあります。
1リップルが35円台の時の同時刻のスプレッド比較をします。
①日本最大のリップル出来高がある取引所ビットバンクのスプレッド(※取引所形式):
0.01円-0.001円
②日本2番手のリップル出来高がある取引所LIQUIDのスプレッド
0.06-0.01円
③コインチェックのリップル販売所
1000リップル売買として
2.5円程度
でした。この時、SVIVCトレードでは
0.2-0.3円
で推移していました。
このスプレッド条件で1000リップルを買う場合の総コストを計算してみましょう。
ASKとBIDの中央値が35.5円のとき、リップルを1000枚買うとして、必要なコストは
・ビットバンク: 35500円+取引手数料42.6円+スプレッド5円~1円
=35548~35544円
・LIQUID: 35500円+取引手数料0円+スプレッド30円~5円
=35530~35505円(ビットバンク比-43円~-14円)
・コインチェック: 35500円+取引手数料0円+スプレッド1250円
=36750円(ビットバンク比+1203円~+1207円)
・SBIVCトレード: 35500円+取引手数料0円+スプレッド150円~100円
=35650~35600円(ビットバンク比+106円~+70円)
となります。
※1000リップルが全量同じ価格で買えるかどうかは板の厚さにもよりますが、板に十分な暑さがあってレートが動かずに買えるものと仮定して計算しています
上記は片道当たりの差額なので、往復すればこの2倍の差が出ます。
1000リップルの計算なのでそこまで大差ないように感じるかもしれませんが、1万リップルを往復するとなると、この20倍です。相当大きな差になってきます。まして、1万リップルを10往復する場合は上記の200倍もの差が出てしまいます。
トレーダーにとって、スプレッドは手数料と同じです。
なので、手数料が無料でもスプレッドが大きければ、トレーダーにとっては手数料が高いのと同じことです。なので、スプレッドが狭ければ狭いほどトレーダーにとってはメリットが大きくなります。
スプレッドを下げるためにはユーザーを増やして、出来高を増やして、取引所形式にして板を厚くすることが有効な手段になります。
ここに、SBIVCトレードの取引所形式開始が期待されている理由があります。
とはいえ、少量の取引しかしない場合や、年に数回しか売買しないスタイルであればそこまでスプレッドを気にしなくてもいいかもしれません。そのような使い方であればSBIVCトレードのスプレッドは現状でも実用性があると思います。
しかし、35円台のリップルにおける0.3円の値幅は、アービトラージャーやデイトレーダーにとっては立派な値幅・利益・損失になります。したがって1日に何往復もする場合や数千リップル、数万リップルを取引する場合、あるいはアビトラをする場合では、SBIVCトレードのスプレッドはかなり重いです。
SBIVCトレードはずっと前から筆者が最も期待している取引所です。SBIVCトレードには、SBI証券をはじめ、SBIグループの既存ユーザーを母体とした莫大な潜在ユーザーがいるはずだと考えています。取引所形式が始まってスプレッドが狭くなればおそらくユーザーは一気に増えていくでしょう。早く取引所形式が開始してほしいと切に願っています。
現状では、リップルを取引したい場合はビットバンク、LIQUID(QUOINE)、GMOコインを使うのがおすすめです。GMOコインのスプレッドは大きいですが、他の取引所より0.2円くらい安くなることがあるので、このような場合はスプレッドを気にせずに買うのもアリになります。また、ビットポイントでもリップルの取引ができますが、2019年7月12日の仮想通貨流出事件を受け、記事執筆時点ではリップルを含む全取引が停止されています。
■SBIVCトレードでアビトラをしたい場合は?
現状ではSBIVCトレードでアビトラするのは難しいかもしれません。スプレッドが大きいと差額がとりにくくなってしまいます。アビトラはマーケットが荒れたときにチャンスが増えますが、レート提示形式ではマーケットが荒れている時にはスプレッドも広がってしまい、価格差が狙いにくくなります。ただし、取引所形式がスタートしたらSBIVCトレードはアビトラをする際にも重要な取引所の一つになると思います。
いい仮想通貨取引所の要件を評価
筆者が考えるいい仮想取引所の条件は次の通りです。
①セキュリティの高さ ②スプレッドの小ささ ③板の厚さ ④レバレッジ取引ができるかどうか ⑤手数料の安さ ⑥経営体の強さ
SBIVCトレードについてこれらの要素を評価します。
☆SBIVCトレードのセキュリティは?
仮想通貨はその性質もあって、セキュリティ面に問題を抱えています。ご存じの通り日本を含め世界各地の仮想通貨取引所はこれまで何度もハッキングや仮想通貨盗難などの問題が発生しています。
筆者はSBIグループの会社が運営するSBIVCトレードには大きな信用を寄せていますが、取引所のセキュリティ周りの内部体制がどうなっているのかは外から把握することができないので、セキュリティがどうなっているかは評価が難しいところです。
そこで、外部から客観的にサイトのセキュリティを計測する方法のひとつに、observatory.mozillaというサービスがあります。Mozillaは20年以上前からブラウザなどのウェブアプリケーションを開発している歴史ある専門業者です。このサービスを使うと誰でもあらゆるサイトのセキュリティ評価の採点が自動でできます。このサービスでのSBIVCトレード の採点結果はこちらです。
https://observatory.mozilla.org/analyze/www.sbivc.co.jp
記事執筆時点の点数は15点で、評価はFです。この点数は随時変わりますが、過去の履歴でも15点だったようです。
ただしこの採点の評価基準は非常に厳しく、20点以下の取引所もあたりまえにあり、デフォルトでは0点で、国内取引所には0点の取引所も2か所あります。取引所以外ではセキュリティ対策を標ぼうしている業者が0点のこともあり、日本の省庁も0点のところは珍しくありません。銀行口座にログインできるメガバンクの公式サイトが1ケタ得点だったりします。
筆者調べでは現在日本の取引所の中で最高得点はビットバンクの70点で、次いでLIQUID/QUOINEが65点です。また、筆者が知る限り最高得点の取引所はBitMEXで、調査時点では105点という異常な高得点でした。
参考までに、東京大学は15点、googleは50点です。ちなみに内閣サイバーセキュリティセンターは60点で、国内の省庁の中では突出して高いです。
このような評価基準なので15点は最悪に低い得点というわけではありません。基本0点になるような厳しい評価です。
もちろん、この評価基準はセキュリティに対する様々な評価手法の1つに過ぎません。従って、この得点が高いからといって直ちに高セキュリティであるとか、逆に評価点が低いからといって直ちに低セキュリティということは言えないでしょう。ただ、この得点が高いほうが様々な要素を幅広く気にした対応がされていることが予想されるので、筆者は個人的にセキュリティ面の安心材料の一つとみて評価しています。15点は安心材料の一つにはなりません。やはりSBIVCトレードには日本最高点を期待したいところです。SBIグループに大きな信用を寄せる筆者としては「こんなテストをやってもやっぱり高得点。さすがSBIグループ」と思いたいです。
ただし、この得点よりもはるかに重要なことは顧客分の仮想通貨がちゃんとコールドウォレットで管理されているかどうかです。
2018年1月にコインチェックで570億円相当のNEMが、9月にはZAIFで70億円相当の仮想通貨が、2019年7月にはビットポイントで30億円相当の仮想通貨がそれぞれ流出しました。流出したのはいずれもホットウォレットで管理されている仮想通貨でした。
本当にコールドウォレットで管理されているかどうかは外からはわからないので「信じるしかない」という世界になります。
ここはSBIグループの企業だからきっとしっかりやってくれているだろうと信じるしかありません。仮想通貨取引所を使うことは、程度の大小こそあれ、不安と戦うことは避けられません。
SBIVCトレードの仮想通貨盗難対策と資産管理方式
こちらで説明されています。
https://www.sbivc.co.jp/support/security/
・EVSSLでのフィッシング対策
・内部犯行防止策
・コールドウォレット保管
・マルチシグ採用
・ユーザーに高強度パスワード義務
・総当たりパスワードアタック対策
・日本円、仮想通貨とも分別管理
などの対策が明記されています。
やはりこのあたりがちゃんと書かれていると安心感があります。
☆SBIVCトレードのスプレッドは?
スプレッドはトレーダーにとって手数料とほとんど同じ存在です。トレーダも取引所も、スプレッドが広くて得することは何ひとつとしてありません。SBIVCトレードは販売所のような異常に広いスプレッドではありませんが、取引所に比べるとやはり広めですです。
仮想通貨FXと同じか少し広いくらいです。なので「仮想通貨FXと同等」という感じでしょうか。トレードの頻度が多い場合はちょっと重めのスプレッドです。しかし頻度が少ないなら実用性があるレベルです。
☆SBIVCトレードの板の厚さは?
取引所形式ではないので板の厚さという要素はありません。提示レートで全量が約定する仕組みです。
☆SBIVCトレードはレバレッジ取引できる?
残念ながらSBIVCトレードではレバレッジ取引はできません。
☆SBIVCトレードの取引手数料は?
SBIVCトレードの取引手数料は無料です。
☆経営母体が強力であるか
仮想通貨取引所は上場企業の関連会社であることがあります。ハッキングや盗難などの大きな問題が起こったとき、補填などで頼れるバックがいるのは安心要素につながります。その点、SBIグループであるSBIVCトレード は最強だと思います。
■SBIVCトレードのメリット・デメリット
〇SBIVCトレードは上場企業の関連会社
〇ネット証券最大手グループの安心感
〇様々なセキュリティ対策が明記されている
×レバレッジ取引ができない
×板取引ができない
×スプレッドがやや大きめ
SBIVCトレードの板取引開始はいつ?
SBIVCトレードは2019年初に板取引を開始することを発表しました。当初は2019年3月開始予定でしたが、その後7月に延期されました。記事執筆時点ではまだ開始していません。筆者は板取引開始が再延期されないことを願っています。
■SBIVCトレードのまとめ
SBIVCトレード はSBIグループの仮想通貨取引所ですので、大きな期待が寄せられている取引所だと思います。筆者は、取引所形式のスタートを機にSBIVCが世界最大級の取引所のひとつになっていくのではないかという期待をしています。
スプレッドの関係から現状のSBIVCトレードはヘビーユーザーにはあまりお勧めできませんが、取引所がスタートすればだいぶ環境は変わるはずです。申し込みが殺到すると開設まで時間がかかってしまうこともあるので、取引所スタートを見据えて口座を持っておいてもいいと思います。
(記事の内容は執筆時時点の筆者調べの情報です。最新情報は各位ご確認ください。)