かつて世界最大級の仮想通貨取引所Coin Checkの現在 返り咲きの可能性は?

かつて世界最大級の仮想通貨取引所Coin Check

Coin Check(コインチェック)はかつて世界の仮想通貨取引所の中で最もビットコインが取引されていた日本の仮想通貨取引所です。
コインチェックの出来高がピークを記録した2017年の11月には月次で256万BTCもの出来高があり、ビットコインが最高額を記録した2017年12月も183万BTCの現物取引がありました。出来高は11月から12月にかけて減りましたが、12月の1BTCのレートは前月の2倍以上になっていたので取引金額自体は増えていました。
下記は2019年6月の各取引所の月次出来高ですが、これと比べても当時のコインチェックの出来高がいかに大きいものかわかると思います。※2019年6月の平均レートは1BTC=約100万円


しかし、2018年1月にコインチェックで起こったNEM流出事件を機に、ユーザーは離れ出来高はどんどん減ってしまいました。
本記事ではコインチェックの現在をご紹介しつつ、王者返り咲きの可能性について考察します。

■コインチェックはリップル(XRP)の板取引はできない

日本ではビットコインに次ぐ人気があるリップルですが、コインチェックでは板取引できません。販売所ではリップルが販売されていますが、販売所は板取引に比べるとスプレッドが非常に高いためおすすめできません。

一般的な販売所は原則使うべきではない

どれくらい高いのかというと、記事執筆時点でのビットバンクの板は
ASK(トレーダーが買える値段) 35.636円/XRP
BID(トレーダーが売れる値段) 35.634円/XRP
でしたが、コインチェックの販売所で1000リップルを売買するレートは

購入 37.061円/XRP
売却 34.409円/XRP

でした。この時、ビットバンクで
・1000リップルを買う場合35636円+手数料48円=35674円 支払い
・1000リップルを売る場合35634円+手数料48円=35372円 受け取り

となりますが、コインチェックで

・1000リップルを買う場合37061円 支払い
・1000リップルを売る場合34409円 受け取り

となります。ビットバンクで1000リップルを買う場合にくらべて1387円損しますし、1000リップル売る場合では963円損します。たった1000リップルでこの差なので、数万リップルの売買だとさらにものすごい差になってしまいます。
多くの場合販売所とはスプレッドが非常に大きいものなので、原則使うべきではありません。例外として使ってもいいケースがあるとすれば
①どうしても取引所で買うのが難しい通貨
②何が何でも今すぐ買いたい
③スプレッドが小さい特殊な販売所である
④レートがめちゃくちゃに荒れて一時的に販売所のほうが有利なレートになっている
といった特別な理由がない限り販売所で仮想通貨を買うのはお勧めしません。

リップルを取引したい場合はビットバンク、LIQUID(QUOINE)、GMOコインを使いましょう。ビットポイントでもリップルの取引ができますが、2019年7月12日の仮想通貨流出事件を受け、記事執筆時点ではリップルを含む全取引が停止されています。

■コインチェックでアビトラをしたい場合は?

コインチェックはビットコインのみが板取引形態で、あとは販売所形式です。販売所はスプレッドが大きすぎてアビトラに使うのは難しいため、コインチェックで可能なアビトラは原則ビットコインだけです。
ビットコインのアビトラをやる場合コインチェックの口座は持っていたほうが好ましいです。他の取引所とレートがズレやすくなります。
国内取引所間ではLIQUID/QUOINEのレートが低くなりやすく、それ以外の取引所が高くなりやすいです。ビットバンクが高いことが多いですが、ビットフライヤーやコインチェックだけが単独で高くなったり安くなることもあるので、本気でアビトラをやるならコインチェックの口座も必須です。

※例外として、2018年1月のように異常な大荒れの際には「コインチェックの販売所で1000リップルを買ってビットバンクに送金して売り、2500円の利益(2.5円抜き)」なんてこともできる状態が30分以上続いたこともありました(筆者も実際にやりました)が、最近の市況では販売所をからめてこんな価格差が出る可能性はほとんど考えられません。今の状況からは信じられないでしょうが、当時は販売所で買ったリップルでもアビトラができるくらいマーケットが荒れ狂っていたのです。

画像は同時刻のリップルのレートです。スクショではなくノートPC2台の画面の「写真」です。

左はコインチェックの「販売所(!)」のリップル購入レート、右はビットバンクのリップルの取引板です。最盛期にはこんなトチ狂ったアビトラチャンスが毎時ゴロゴロ転がっていました。

いい仮想通貨取引所の要件を評価

筆者が考えるいい仮想取引所の条件は次の通りです。
①セキュリティの高さ ②スプレッドの小ささ ③板の厚さ ④レバレッジ取引ができるかどうか ⑤手数料の安さ ⑥経営体の強さ
コインチェックについてこれらの要素を評価します。

☆コインチェックのセキュリティは?

仮想通貨はその性質もあって、セキュリティ面に問題を抱えています。ご存じの通り日本を含め世界各地の仮想通貨取引所はこれまで何度もハッキングや仮想通貨盗難などの問題が発生しています。本記事を執筆している数日前にも日本の仮想通貨取引所ビットポイントで35億円相当の仮想通貨流出事件が発生しました。
セキュリティは常に、すべての仮想通貨取引所の課題になっており、トレーダーにとっても仮想通貨取引所のセキュリティは最重要事項です。

コインチェックはハッキング歴あり→盗難時レートの79%を日本円で補填

コインチェックは2018年1月26日に不正アクセスされ、580億円相当ものNEMの盗難に遭いました。規模が大きい取引所ほど狙われやすくなるのは自明ですが、盗まれたNEMはホットウォレットで管理されており、セキュリティの甘さが指摘されました。

NEM以外の仮想通貨や預入中の日本円も出金できなくなり、販売所は停止しました。日本円の出金は約3週間後に、仮想通貨の出金はその1か月後に開放されました。
https://corporate.coincheck.com/2018/02/13/40.html
https://corporate.coincheck.com/2018/03/12/48.html
筆者はNEMを持っていませんでしたが、コインチェックをメインで使っていたためかなりの額の日本円を預けていました。返ってこない可能性も考えられたので本当に落ち込みました。
NEMの保有者については、当時のレート換算の全額ではありませんが後日約460億円が日本円で補填されました。
https://corporate.coincheck.com/2018/01/28/30.html
現金で460億円を支払えるくらいの余剰利益を確保していたことは多くの人に衝撃を与えました。
その後、コインチェックは2018年4月にマネックスグループの子会社となり、体制を整えて2019年1月に仮想通貨交換業登録を完了しました。
https://corporate.coincheck.com/2018/04/06/51.html
https://corporate.coincheck.com/2019/01/11/63.html

コインチェックのセキュリティ採点をチェック

全額ではないものの補填を行い、倒産せずマネックスグループの傘下になり、仮想通貨交換業登録を終えたことなどから筆者はいまのコインチェックに相応の安心感を持っていますが、取引所のセキュリティ周りの内部体制がどうなっているのかは外から把握することができないので、コインチェックのセキュリティがどうなっているかは評価が難しいところです。

外部から客観的にサイトのセキュリティを計測する方法のひとつに、observatory.mozillaというサービスがあります。Mozillaは20年以上前からブラウザなどのウェブアプリケーションを開発している歴史ある専門業者です。このサービスを使うと誰でもあらゆるサイトのセキュリティ評価の採点が自動でできます。このサービスでのコインチェック の採点結果はこちらです。
https://observatory.mozilla.org/analyze/coincheck.com

この点数は随時変わります。過去の履歴を見ると10点と0点を行き来しています。
記事執筆時点の点数は10点で、評価はFです。20点以下の取引所もあたりまえにあり、デフォルトでは0点で、国内取引所には0点の取引所も2か所ありますが、残念ながら高い数値とは言えません。取引所以外ではセキュリティ対策を標ぼうしている業者が0点のこともあり、日本の省庁も0点のところは珍しくありません。銀行口座にログインできるメガバンクの公式サイトが1ケタ得点だったりします。
筆者調べでは現在日本の取引所の中で最高得点はビットバンクの70点で、次いでLIQUID/QUOINEが65点です。また、筆者が知る限り最高得点の取引所はBitMEXで、調査時点では105点という異常な高得点でした。
参考までに、東京大学は15点、googleは50点です。ちなみに内閣サイバーセキュリティセンターは60点で、国内の省庁の中では突出して高いです。
このような評価基準なので10点は最悪に低い得点というわけではありません。基本0点になるような厳しい評価です。

もちろん、この評価基準はセキュリティに対する様々な評価手法の1つに過ぎません。従って、この得点が高いからといって直ちに高セキュリティであるとか、逆に評価点が低いからといって直ちに低セキュリティということは言えないでしょう。ただ、この得点が高いほうが様々な要素を幅広く気にした対応がされていることが予想されるので、筆者は個人的にセキュリティ面の安心材料の一つとみて評価しています。
また、この得点よりはるかに重要なのは顧客分の仮想通貨がちゃんとコールドウォレットで管理されているかどうかです。本当にコールドウォレットで管理されているかどうかは外からはわからないので「信じるしかない」という世界になります。
マネックスグループの企業だからきちんとしてくれているだろうと信じるしかありません。仮想通貨取引所を使うことは、程度の大小こそあれ、不安と戦うことは避けられません。

☆コインチェックのスプレッドは?

スプレッドはトレーダーにとって手数料とほとんど同じ存在です。トレーダも取引所も、スプレッドが広くて得することは何ひとつとしてありません。かつてのコインチェックは非常に出来高が大きく、スプレッドは狭かったのですが、今は出来高なりのスプレッドがそれなりに開いています。

☆コインチェックの板の厚さは?

板が厚い取引所ほど一度により大きな取引ができるので、資金力のある大口トレーダーが参加しやすくなり、さらに取引量が増えて板も厚くなっていくという正のフィードバックをもたらします。コインチェック の板はかつてすさまじい分厚さを誇っていましたが、残念ながら今は厚みがあるとは言えません。数BTCのトレードをしたい場合は板の様子をみて量を調整したり、売買を分割したり、成り行きを避けて指値を置いて約定を待つといった配慮が必要です。

☆コインチェックはレバレッジ取引できる?

かつてコインチェックではレバレッジ取引ができました。しかも、LIQUIDのように現物とレバレッジ取引の板が共有されている魅力的な形式でした。しかし、残念ながら流出事件以降現在に至るまでレバレッジ取引は停止されています。
コインチェックのレバレッジ取引の復活を待ち望んでいるのは筆者だけではないでしょう。

☆コインチェックの取引手数料は?

コインチェックの取引手数料は無料です。

☆経営母体が強力であるか

仮想通貨取引所は上場企業の関連会社であることがあります。ハッキングや盗難などの大きな問題が起こったとき、補填などで頼れるバックがいるのは安心要素につながります。コインチェック はマネックスグループの子会社です。補填関係は最終的には資金力によるので、上場企業に関連していないからと言って補填がないわけではありませんが、上場企業の関連会社であることは安心要素の一つです。
また、先述の通り約580億円のNEM流出に対して約460億円の補填がなされています。「いざというときには支払える限りは補填してくれる」という信用、実績がコインチェックにはあります。流出経験から立ち直ったことも今後のセキュリティ対策にプラスの面が少なからずあると思います。

コインチェックのメリット・デメリット

〇コインチェック の取引手数料は無料
〇コインチェックは上場企業の関連会社
〇コインチェックは仮想通貨流出事件の後に補填した実績がある
×レバレッジ取引ができない
×リップルが販売所でしか取引できない
×約580億円のNEM流出歴あり

コインチェック復活の可能性と施策

とにかくすさまじい出来高と板の分厚さがコインチェックの大きな魅力でした。
それに加えて、現物と共通の板でレバレッジ取引ができることも同じくらい大きな魅力でした。
コインチェックが再び出来高日本一、世界一になるためにはレバレッジ取引の再開は必須でしょう。筆者をはじめ、コインチェックの受け皿としてLIQUID/QUOINEに移行したユーザーは少なくないはずです。
「出来高を戻す」というのは簡単にはいかないでしょうからまずはレバレッジ取引を再開していただきたいです。それに伴ってじわじわと出来高が戻るだろうと考えています。あれだけのことがあったのに、いまでも根強いユーザーがいることは出来高からも読み取れます。
またリップルを板取引できるようにしたほうがいいと思います。
さらに、チャートをもう少し使いやすいものにしたほうがいいと思います。最低限TradingViewを導入したほうがいいのではないでしょうか
(コインチェックのチャートはTradingViewではなくTradeView)。

以上から、筆者が考えるコインチェック復活のための施策は

①レバレッジ取引を再開する
②販売所で扱っている通貨をすべて板取引できるようにする(特にリップル)
③チャートを改善する

です。もしもこれらが整えば結構な数のユーザーが戻ってくるように思います。

■コインチェックのまとめ

コインチェック はかつて世界最大の仮想通貨取引所でした。流出事件は悲惨なものでしたが、あれだけの事件を乗り越えて、破綻せずに事業が継続しています。筆者はコインチェックに慣れていて、他の取引所にメインを移すのに苦労しました。今はアビトラで使っている程度ですが、もし環境さえ整えばまたメインで使いたいと思っています。

(記事の内容は執筆時時点の筆者調べの情報です。最新情報は各位ご確認ください。)