仮想通貨現物の出来高が世界最大級の取引所 BINANCE(バイナンス)

仮想通貨の現物出来高は世界最大級!BINANCE(バイナンス)

BINANCE(バイナンス)は世界中の仮想通貨取引所の中でもビットコイン現物の出来高が突出して大きい仮想通貨取引所です。
バイナンスは香港で開設された仮想通貨取引所です。しかし、中国および香港から警告を受けて日本への移転を模索しました。その後日本からも警告を受け、現在はマルタに本拠地を移転しています。
バイナンスにはレバレッジ取引はなく、現物取引のみですが、出来高が非常に大きく賑わっている取引所です。ビットコインだけでなくイーサリアムやリップルの出来高も非常に大きく、ビットコイン同様にリップルの出来高も世界最大級です。
仮想通貨の取引環境に最も重要なのはセキュリティということは疑いがありませんが、それ以外の要素では特に出来高に着目すべきでしょう。出来高が大きい取引所ほど取引の参加者が多いので、スプレッドは小さく、板が分厚くなり、有利な条件でトレードしやすくなります。バイナンスの莫大な出来高はスプレッドの狭さと板の分厚さにしっかり反映されています。
BINANCEの直近の月間出来高はBTC現物で169万BTCと世界最大級です。BTC現物の出来高で日本最大のLIQUID/QUOINEは67万BTCなので2倍以上です。

ところで、見出しに世界最大ではなく世界最大級としたのは訳があります。

海外の仮想通貨取引所の出来高は水増しされていることがよくある

CoinMarketCapなど、出来高のランキングサイトを見るとBINANCE以上の出来高をたたき出している仮想通貨取引所もありますが、それらの取引所ではスプレッドが大きく、約定履歴と板が連動していないことが良くあります。そして、大きく開いたASKとBIDの間にあるレートで、カラ約定と思われる大きな額の取引が一定間隔で繰り返されています。
このような取引所はウォッシュトレードという、取引所主導による出来高の意図的な水増し行為が疑われます。出来高を実態以上に大きく装うことでユーザーを集めているのです。日本ではウォッシュトレードは違法ですが、海外ではウォッシュトレードがルール化されていない国もあるのでしょう。スプレッドが十分に狭くて板の注文がちゃんと約定するのであれば、ウォッシュトレードがあろうとなかろうとユーザーにとって特に不利益はないので、板と約定履歴が連動していて板の注文がちゃんと約定するのであれば、筆者はウォッシュトレードの有無をそこまで気にしません。もちろんウォッシュトレードに手を染めてしまうような取引所は少なからず不正体質があるでしょうから、ウォッシュトレードが行われていないに越したことはありません。海外取引所では板と連動していない約定履歴にくれぐれもご注意ください。

バイナンスの約定履歴は板としっかり連動している

これまでBINANCEにもウォッシュトレードの疑惑をかけられたことがありますが、少なくともBINANCEでは板と約定履歴がしっかり連動しています。このことから、筆者はバイナンスの出来高には実態があると考えています。

海外取引所を判断する際には、単に取引所発表の出来高の数字だけを見るのではなく、板と約定履歴の動きに注視するなどして、その出来高に本当に実態があるかどうか疑いの目をもって評価することが必要になります。
証券会社とは違って、仮想通貨取引所には第三者機関の手がしっかり入っていることは少なく、取引所発表の出来高をどこまで信じていいのか不透明なところがあります。
このような問題があるのでバイナンスの出来高を「世界最大」ではなく「世界最大級」と表現することにしました。

BINANCEはリップル(XRP)の出来高も世界最大級

日本ではビットコインに次ぐ人気があるリップルもBINANCEでも取引可能です。また、リップルの出来高も日本で最もリップルが取引されているビットバンクの月間22億リップルに対し、バイナンスは月間83億リップルもの出来高があります。リップルを取引するためにとても有利な環境と言えるでしょう。

BINANCEでアビトラをしたい場合は?

ビットコインのアビトラでBINANCEを使う場合、少々工夫が必要です。日本の取引所を絡めたアビトラをやる場合は為替レートを考慮する必要があります。
また、BINANCEでは証拠金として法定通貨を入金することはできず、何らかの仮想通貨を預け入れる方式になっています。法定通貨ベース・円ベースの資金を増やしたいのであれば預け入れる仮想通貨を法定通貨・円でヘッジする必要があります。
また、BINANCEでビットコインを売って得られるものはUSD(米ドル)ではなくUSDTというドル連動の仮想通貨です。このUSDTがなかなかの曲者です。USDTは米ドル連動を謳っているものの、米ドルと等価交換する仕組みがないためペッグが不完全で、必ずしも米ドルの価格とは一致しません。1USDTが1ドル以上になったり、1ドルを下回ったりします。BINANCEで取引されているビットコインの多くはUSDT建てです。したがってUSDTが円換算でいくらであるかを適切に算出しなければなりません。米ドルのヘッジはFX会社でドル円をショートすることで可能になりますが、USDT/円を完全にヘッジすることはできません。
BINANCEをアビトラに絡める際はUSDTのレート変動まで考慮しなければならないので、円ベースのビットコインとBINANCEのビットコインでアビトラを行うのはそれなりの技術を要します。このように、BINANCEを絡めたアビトラには考慮すべきことが多く、初心者はもちろん中級者にも向いていません。BINANCEをアビトラに使って稼ぐのは一部の上級者向きと言えるでしょう。

いい仮想通貨取引所の要件を評価

筆者が考えるいい仮想取引所の条件は次の通りです。
①セキュリティの高さ ②スプレッドの小ささ ③板の厚さ ④レバレッジ取引ができるかどうか ⑤手数料の安さ ⑥経営体の強さ
BINANCEについてこれらの要素を評価します。

☆BINANCEのセキュリティは?

仮想通貨はその性質もあって、セキュリティ面に問題を抱えています。ご存じの通り日本を含め世界各地の仮想通貨取引所はこれまで何度もハッキングや仮想通貨盗難などの問題が発生しています。本記事の執筆時にも日本の仮想通貨取引所ビットポイントで35億円相当の仮想通貨流出事件が発生しました。
セキュリティは常に、すべての仮想通貨取引所の課題になっており、トレーダーにとっても仮想通貨取引所のセキュリティは最重要事項です。しかし取引所のセキュリティ周りの内部体制がどうなっているのかは外から把握することができないので、評価が難しいところです。
外部から客観的にサイトのセキュリティを計測する方法のひとつに、observatory.mozillaというサービスがあります。Mozillaは20年以上前からブラウザなどのウェブアプリケーションを開発している歴史ある専門業者です。このサービスを使うと誰でもあらゆるサイトのセキュリティ評価の採点が自動でできます。このサービスでのBINANCE の採点結果はこちらです。
https://observatory.mozilla.org/analyze/www.binance.com

この点数は随時変わります。過去の履歴を見ると15点や0点だったこともあります。
記事執筆時点の点数は80点で、評価はB+です。この数字は非常に高い値です。20点以下の取引所もあたりまえにあり、デフォルトでは0点で、国内取引所には0点の取引所も2か所あります。筆者調べでは現在日本の取引所の中で最高得点はビットバンクの70点で、次いでLIQUID/QUOINEが65点です。また、筆者が知る限り最高得点の取引所はBitMEXで、調査時点では105点という異常な高得点でした。
取引所以外ではセキュリティ対策を標ぼうしている業者が0点のこともあり、日本の省庁も0点のところは珍しくありません。銀行口座にログインできるメガバンクの公式サイトが1ケタ得点だったりします。参考までに、東京大学は15点、googleは50点です。ちなみに内閣サイバーセキュリティセンターは60点で、国内の省庁の中では突出して高いです。
このような評価基準ですので、80点は非常に高い得点です。

もちろん、この評価基準はセキュリティに対する様々な評価手法の1つに過ぎません。従って、この得点が高いからといって直ちに高セキュリティであるとか、逆に評価点が低いからといって直ちに低セキュリティということは言えないでしょう。ただ、この得点が高いほうが様々な要素を幅広く気にした対応がされていることが予想されるので、筆者は個人的にセキュリティ面の安心材料の一つとみて評価しています。BINANCEは相当高度なセキュリティ対策がされているのだろうと察しています。

BINANCEはハッキング歴あり:対応はどうだったか?

BINANCEは2019年の5月8日に不正アクセスされ、ビットコイン7000BTC(当時のレートで約45億円相当)の盗難にあっています。BINANCEのセキュリティは他の取引所よりも堅そうですが、ハッカーに狙われる機会は取引所の規模比例するであろうことは容易に推測できます。
セキュリティを上回るほどの規模があると、いつかどうしても被害にあってしまうのは避けられないかもしれません。その観点からすると、取引所の規模の割には被害額は小さかったという見方もできるかもしれません。
コインチェックの流出事件では当時世界最大級の取引所でしたが、流出額はなんと580億円でした。また、ビットポイントの直近の出来高はBINANCEの25分の1以下ですが流出額は35億円でした。
また、BINANCEのハッキングの際はBINANCE自身の補填システムにより、顧客に損はありませんでした。

☆BINANCEのスプレッドは?

スプレッドはトレーダーにとって手数料とほとんど同じ存在です。トレーダも取引所も、スプレッドが広くて得することは何ひとつとしてありません。BINANCEは非常に出来高が大きく、スプレッドは狭いです。
記事執筆時点でのスプレッドはBTC/USDTで0.2USDT=220円程度、XRP/USDTで0.0001USDT=0.022円程度と、いずれも非常に狭くなっていました。

☆BINANCEの板の厚さは?

板が厚い取引所ほど一度により大きな取引ができるので、資金力のある大口トレーダーが参加しやすくなり、さらに取引量が増えて板も厚くなっていくという正のフィードバックをもたらします。BINANCE の板は世界有数の分厚さを誇っており、非常に魅力的な点のひとつです。
記事執筆時時点では直近値から±10USDTの範囲にそれぞれ5~10BTC、±20USDTの範囲にそれぞれ10~25BTCほどの指値注文が並んでいました。
こちらでリアルタイムの板の状況が確認できます
https://www.binance.com/en/trade/pro/BTC_USDT

☆BINANCEはレバレッジ取引できる?

BINANCEでの取引はすべてレバレッジ取引です。高いレバレッジ設定が可能で、しかも追証なしです。レバレッジは使い方を間違えると危険なのでハイレバレッジは必ずしもいいこととは言えませんが、チャンスは増えます。また、追証なしの仕組みは日本の取引所のレバレッジ取引にはない非常に魅力的な点です。

☆BINANCEの取引手数料は?

BINANCEの取引手数料はBINANCEが発行した仮想通貨「BNB」の保有量や、過去30日間のビットコインまたはBNBの取引量によって変動します。
また、BNBで手数料を支払うことで最大半額の割引があります。
バイナンスの取引手数料は最大で0.1%と高めなので、BNBの割引を使うのはほとんど必須です。筆者もBINANCEを使う際はトレードする前に必ずBNBを購入しています。

BINANCEの最新の手数料はこちら
https://www.binance.com/en/fee/schedule

☆経営母体が強力であるか

仮想通貨取引所は上場企業の関連会社であることがあります。ハッキングや盗難などの大きな問題が起こったとき、補填などで頼れるバックがいるのは安心要素につながります。残念ながらBINANCE は上場企業の関連会社という情報はありません。ただし補填関係は最終的には資金力によるので、上場企業に関連していないからと言って補填がないわけではありません。あくまで、上場企業関連会社であることは安心要素の一つです。
その点、BINANCEは相当な収益をあげています。参考までにBINANCEの2018年の利益は約490億円、2019年第1四半期の利益は約51億円でした。
また、今年5月に45億円が流出した事件の際にはバイナンスが自主的に設立した「SAFUファンド」というシステムにより被害が補填され、顧客に影響はありませんでした。SAFUファンドにはBINANCEの手数料収入の10%が引き当てられており、万一の際の被害補償に備えています。
また、安心要素の観点では海外取引所というのはどうしても不安要素の一つになると思います。この不安を押してまで使うかどうか、という判断は必要になると思います。この辺りも含めてメリットやデメリットを考慮しながらユーザーが各自総合的に判断することになるでしょう。

BINANCEのメリット・デメリット

〇BINANCE のビットコイン現物の出来高は世界最大級
〇BINANCE のリップル現物の出来高は世界最大級
〇イーサリアムの出来高も大きい
〇スプレッドが小さい
〇セキュリティが高め
〇有事の際の補填システムがある
〇45億円のビットコイン流出時の際に顧客に損がなかった
×レバレッジ取引ができない
×アビトラは初心者向きではない
×円はもちろんドルでの入金もできない(仮想通貨入金のみ)
×手数料が高め
×45億円のビットコイン流出歴あり
×海外取引所ゆえの不安、何かトラブルがあっても対処しにくい

■BINANCEのまとめ

BINANCE は非常に魅力的な仮想通貨取引所ですが、海外取引所です。何かあっても日本のような手厚い対処は期待できない可能性があり、有事の際に最新情報を得ようにも言語の壁があります。しかし様々な仮想通貨取引を行うにあたって有利な環境があり、ビットコインやリップルの出来高は世界最大級です。BINANCEを使うかどうかはそのあたりのメリットとの兼ね合いにもなるでしょう。筆者はビットコインやリップルのアビトラで何度もBINANCEを使っています。

(記事の内容は執筆時時点の筆者調べの情報です。最新情報は各位ご確認ください。)