
ビットコインFXで世界最大の出来高を誇る仮想通貨取引所BitMEX
BitMEX(ビットメックス)は海外の仮想通貨取引所です。BiTMEXは世界中の取引所の中でも最もビットコインFX(BTCFX)の出来高が大きい取引所です。BitMEX はビットコインのレバレッジ取引が可能ですが、BitMEXのレバレッジ取引は現物そのものの取引ではないためFXやBTCFXと呼ばれています。本稿ではBTCFXと表記します。
BitMEXのBTCFXは桁外れの出来高があります。直近の月間出来高を見ると、世界で最もBTC現物が盛んに取引されているBINANCE(バイナンス)の出来高が約170万BTCです。一方、ビットコインのFXはレバレッジがかけられるので現物より出来高が多くなりやすく、日本最大のBTCFXであるbitflyer(ビットフライヤー)のBTCFX:bfFXの出来高は約380万BTCで、BINANCEの2倍以上です。そして本稿で紹介するBiTMEXのBTCFXの出来高はなんと1400万BTC以上!bfFXのさらに4倍もの出来高があります。
仮想通貨の取引環境に最も重要なのはセキュリティということは疑いがありませんが、それ以外の要素では特に出来高に着目すべきでしょう。たとえ手数料が無料でも出来高が小さければスプレッドは広くなり、大口注文を出すとさらにスプレッドが広がってしまい、実質的な手数料が大きくなってしまいます。
逆に、出来高が大きい取引所ほど取引の参加者が多いので、スプレッドは小さく、板が分厚くなり、有利な条件でトレードしやすくなります。実際、BitMEXのすさまじい出来高はスプレッドの狭さと板の分厚さにしっかり反映されています。
■BitMEXのFXはハイレバレッジ可能で追証なし
・レバレッジは最大100倍
BitMEXではビットコインFXに加えてイーサリアムやビットコインキャッシュ、リップルのFXも取引できます。ポジション量に比例して可能なレバレッジは下がりますが、最大で100倍ものレバレッジがかけられるので、少額の資金でもチャンスがあります。
・追証(マイナスロスカット)なし
BitMEXのFXではロスカットの際に、たとえ相場が急変してもマイナスにならずにゼロで済みます。このため追証がありません。このおかげで預入資金以上の損失を出さずに済むいという非常にありがたい仕組みです。
BitMEXのFXは仮想通貨そのものを取引しているわけではなく、仮想通貨から派生した特殊な金融商品です。現物とは似て非なるものです。そのため現物の動きとズレを生じることがあります。ただし、BitMEXのFXは現物の動きに基づいた、現物のレートから大きく乖離しすぎないような配慮がなされています。
■BitMEXのリップル(XRP)FXは出来高があまり大きくないい
日本ではビットコインに次ぐ人気があるリップルはBitMEXでも取引可能です。ただし、圧倒的な出来高を誇るBitMEXのビットコインFXに比べ、BitMEXのリップルFXはものすごく出来高が小さくなります。そのうえリップルFXの手数料は高額になっており、あえてBitMEXでリップルFXを取引するメリットはあまりないと思います。その代わり、イーサリアムのFXはかなり出来高が大きく、手数料もリップルより安く、環境は良好です。BitMEXでアルトコインのFXをするのであれば、リップルではなくイーサリアムをおススメします。
■BitMEXでアビトラをしたい場合は?
ビットコインのアビトラでBitMEXを使う場合、様々な工夫が必要です。日本の取引所を絡めたアビトラをやる場合為替レートも考慮する必要があります。また、BitMEXでは証拠金として法定通貨の代わりにビットコインを預け入れる方式になっているため、法定通貨ベースで資金を増やすためには預け入れるビットコイン自体を法定通貨でヘッジする必要があります。さらに、高めの手数料を考慮する必要もあります。BitMEXのレートは必ずしも現物のレートにマッチするわけでもないため、BitMEXを絡めたアビトラは上級者向けであまりお勧めできません。
いい仮想通貨取引所の要件を評価
筆者が考えるいい仮想取引所の条件は次の通りです。
①セキュリティの高さ ②スプレッドの小ささ ③板の厚さ ④レバレッジ取引ができるかどうか ⑤手数料の安さ ⑥経営体の強さ
BitMEXについてこれらの要素を評価します。
☆BitMEXのセキュリティは?
仮想通貨はその性質もあって、セキュリティ面に問題を抱えています。ご存じの通り日本を含め世界各地の仮想通貨取引所はこれまで何度もハッキングや仮想通貨盗難などの問題が発生しています。セキュリティはすべての仮想通貨取引所の課題になっており、トレーダーにとっても仮想通貨取引所のセキュリティは最重要事項です。しかし取引所のセキュリティ周りの内部体制がどうなっているのかは外から把握することができないので、評価が難しいところです。
外部から客観的にサイトのセキュリティを計測する方法のひとつに、observatory.mozillaというサービスがあります。Mozillaは20年以上前からブラウザなどのウェブアプリケーションを開発している歴史ある専門業者です。このサービスを使うと誰でもあらゆるサイトのセキュリティ評価の採点が自動でできます。このサービスでのBitMEX の採点結果はこちらです。
https://observatory.mozilla.org/analyze/www.bitmex.com
この点数は随時変わります。過去の履歴を見ると100点だったこともあれば110点だったこもあるようです。記事執筆時点の点数は105点で、評価はA+です。この数字は異常なくらい高い値です。20点以下の取引所もあたりまえにあり、デフォルトでは0点で、国内取引所には0点の取引所も2か所あります。筆者調べでは現在日本の取引所の中で最高得点はビットバンクの70点で、次いでLIQUID/QUOINEが65点です。
取引所以外ではセキュリティ対策を標ぼうしている業者が0点のこともあり、日本の省庁も0点のところは珍しくありません。銀行口座にログインできるメガバンクの公式サイトが1ケタ得点だったりします。参考までに、東京大学は15点、googleは50点です。ちなみに内閣サイバーセキュリティセンターは60点で、国内の省庁の中では突出して高いです。
このような評価基準で105点とは異常なレベルの高得点です。100点超えのサイトは、筆者はBiTMEXのほかには1つしか知りません(ちなみにそのサイトとはobservatory.mozillaですが、さすがにそこは手前味噌ですね。高くて当然)。
もちろん、この評価基準はセキュリティに対する様々な評価手法の1つに過ぎません。従って、この得点が高いからといって直ちに高セキュリティであるとか、逆に評価点が低いからといって直ちに低セキュリティということは言えないでしょう。ただ、この得点が高いほうが様々な要素を幅広く気にした対応がされていることが予想されるので、筆者は個人的にセキュリティ面の安心材料の一つとみて評価しています。BitMEXは高度なセキュリティ対策がされているのだろうと察しています。
もう一つBitMEX客観的にセキュリティが高そうと考えられる点に、ビットコインでしか入出金ができない点が挙げられます。様々な仮想通貨を扱うことで管理のリソースはどうしても分散してしまします。BitMEXではビットコイン以外の入出金ができず、法定通貨も取り扱っていません。したがってBitMEXはビットコイン以外の資産を管理・保有する必要がありません。これはセキュリティを固めるのにあたって非常に好ましい要素だと思います。
☆BitMEXのスプレッドは?
スプレッドはトレーダーにとって手数料とほとんど同じ存在です。トレーダも取引所も、スプレッドが広くて得することは何ひとつとしてありません。BitMEXのBTCFXはスプレッドが非常に小さくなっており、多くの場合でスプレッドは1ティック=0.5ドルです。ビットコインではスプレッドが1000円(10ドル)くらい開いているのは当たり前なので、だいたい0.5ドルを維持しているというのは、「とてつもなくすごいこと」といえるでしょう。
☆BitMEXの板の厚さは?
板が厚い取引所ほど一度により大きな取引ができるので、資金力のある大口トレーダーが参加しやすくなり、さらに取引量が増えて板も厚くなっていくという正のフィードバックをもたらします。BitMEX の板は世界有数の分厚さを誇っており、非常に魅力的な点のひとつです。
☆BitMEXはレバレッジ取引できる?
BitMEXでの取引はすべてレバレッジ取引です。高いレバレッジ設定が可能で、しかも追証なしです。レバレッジは使い方を間違えると危険なのでハイレバレッジは必ずしもいいこととは言えませんが、チャンスは増えます。また、追証なしの仕組みは日本の取引所のレバレッジ取引にはない非常に魅力的な点です。
☆BitMEXの取引手数料は?
・BitMEXの取引手数料はTakerとMakerで異なる
BitMEXのビットコインFXではTaker(すでに板にある指値を約定させる)は0.075%の手数料を支払います。往復で0.15%にもなるので、かなり高めです。
一方、Maker(板に指値を置いて約定を待つ)では約定金額の0.05%をマイナス手数料として「受け取る」ことができます。アルトコインのTaker手数料はさらに高額で、なんと片道0.25%もかかります。これだけ手数料が高いと、かなりの値幅を取らないと利益になりません。
このようにBitMEXのTaker手数料は高額ですが、Maker取引をうまく織り交ぜることで手数料を節約できます。ただし、あまりMakerにこだわりすぎると約定のチャンスを逃してしまったり、約定するときは逆方向に行きがちなので約定後すぐ含み損になったりしがちなので、Makerの使い方には相応のトレード技術や判断力が必要になります。
・BitMEXでは8時間ごとに変動制のポジション料がかかる
ポジションの評価額に対して8時間ごとに変動制の手数料がかかります。特殊な計算方法になっており、随時変動します。ポジション料は支払うだけでなく、受け取れることもあります。この計算方法は少々複雑です。ポジション料は「資金調達率」として8時間ごとに更新されます。
ポジション量の計算方法を含む最新の手数料はこちら(サイトで日本語表示にも切り替えられます)
いずれにしても、仮想通貨取引所では手数料の変更がよくあります。最新の手数料については上記リンクをご確認ください。
☆BitMEXの経営母体は強い?
仮想通貨取引所は上場企業の関連会社であることがあります。ハッキングや盗難などの大きな問題が起こったとき、補填などで頼れるバックがいるのは安心要素につながります。残念ながらBitMEX は上場企業の関連会社という情報はありません。ただし補填関係は最終的には資金力によるので、上場企業に関連していないからと言って補填がないわけではありません。あくまで、上場企業関連会社であることは安心要素の一つです。
BitMEX自体は相当な手数料収益をあげていることが予測されます。BitMEXの手数料はMakerが-0.025%、Takerが0.075%なので、差し引き0.05%です。直近月では1400万BTCの取引があったので、月7000BTCの手数料収入。1BTC=120万円として、手数料収入はなんと84億円です。
また、安心要素の観点では海外取引所というのはどうしても不安要素の一つになると思います。この不安を押してまで使うかどうか、という判断は必要になると思います。この辺りも含めてメリットやデメリットを考慮しながらユーザーが各自総合的に判断することになるでしょう。
■BitMEXのメリット・デメリット
〇BitMEX のBTCFXは世界最高の出来高を誇る
〇スプレッドが非常に小さい
◎追証・マイナスロスカットなし!
〇高いレバレッジがかけられる
〇イーサリアムFXの出来高も大きい
〇セキュリティが高め
×ポジション料が流動的で予想できない
×円はもちろんドルでの入金もできない(ビットコイン入金のみ)
×手数料が高め
×リップルの取引量があまり多くない
×海外取引所なので何かトラブルがあっても対応しにくい
■BitMEXのまとめ
BitMEX は非常に魅力的な仮想通貨取引所ですが、日本の取引所ではありません。何かあっても日本のような手厚い対処は期待できない可能性があります。しかし、FXを行うにあたってほとんど最高の環境があります。BitMEXを使うかどうかはそのあたりとの兼ね合いになるでしょう。
(記事の内容は執筆時時点の筆者調べの情報です。最新情報は各位ご確認ください。)